ジョーズ3

ジョーズ3D：海の底に潜む恐怖

1983年公開の『ジョーズ3D』（劇場公開題名）は、『ジョーズ』シリーズの第3作目です。前2作の緊張感とサスペンスを受け継ぎつつ、新たな舞台と主人公で、観客に未体験の恐怖を提供しています。監督はジョー・アルブス、シリーズでおなじみのサメの脅威が、今回は巨大な海洋水族館を舞台に繰り広げられます。

物語：シー・ワールドの悪夢

舞台となるのは、フロリダ州に建設されたばかりの海洋水族館「シー・ワールド」。最新の技術を駆使した巨大な水中トンネルが自慢のこの施設で、前作の主人公マーティン・ブロディの息子、マイケル・ブロディはチーフ・エンジニアとして働いています。彼は、前作でサメの恐怖を目の当たりにした父親とは異なり、海を恐れずに、その魅力に惹かれています。

開園前日、マイケルは恋人である海洋生物学者のキャスリン・モーガン、写真家のフィリップ・フィッツロイス、そして弟のショーンと共に、水族館の準備に追われます。しかし、その夜、予期せぬ事態が発生します。海底トンネルへのゲートが故障し、修理に向かったスタッフが行方不明になったのです。

マイケルとキャスリンは調査に向かい、そこで全長3メートルのホオジロザメを発見します。フィリップの協力も得て、なんとかサメを捕獲することに成功した彼らは、最初はサメを処分しようかと考えますが、キャスリンの提案により、水族館で飼育することにします。

しかし、館長のカルヴィン・ブシャールは、勝手にサメを展示し、公開直後にサメは死んでしまいます。その頃、海底トンネルでは、修理に向かったスタッフの悲惨な死体が発見されます。マイケルは、新たな、そしてさらに巨大なサメの仕業だと確信します。

バーで館長に報告したマイケルとキャスリンは、海底に潜む全長10メートルもの巨大なホオジロザメを発見します。避難命令が出されますが、水上スキーショーはパニックに陥り、巨大サメの攻撃により水中トンネルは破壊されてしまいます。捕獲したサメは、この巨大なサメの子どもだったのです。トンネル内に閉じ込められた客たちを救うため、マイケルは再び危険な海の中へと飛び込んでいきます。

技術：革新的な3D映像

本作は、当時話題となった3D映画です。偏光フィルター方式のメガネを使用することで、よりリアルで迫力ある映像が実現されています。特に、巨大なホオジロザメの迫力は、従来の映画では味わえないほどの臨場感を提供し、観客を恐怖の渦に引き込みます。また、サメの模型も前作とは異なり、口から吸い込んだ水をエラから噴射することで自走するハイテクなものを使用しており、その精巧さも本作の特徴となっています。

キャラクター：それぞれの葛藤

本作の主人公マイケル・ブロディは、前作でサメの恐怖を経験した父親とは異なり、海を愛し、その魅力に惹かれています。しかし、巨大サメの襲撃を通して、彼は海に対する新たな認識を持つことになります。一方、館長ブシャールは、水族館の運営を優先し、サメの危険を軽視する、シリーズ1作目のヴォーン市長を彷彿とさせる人物像です。

キャスリン・モーガンは、冷静沈着な海洋生物学者で、マイケルの恋人です。彼女の専門知識と勇気は、マイケルを助ける重要な役割を果たします。そして、写真家のフィリップ・フィッツロイスは、その知識と機転で、危機的な状況を乗り越えるために貢献します。

シリーズにおける位置づけ

『ジョーズ3D』は、シリーズ全体において、サメの恐怖というテーマを新たな視点で描いた作品です。前2作とは異なる舞台設定と主人公、そして3Dという革新的な技術により、シリーズに新たな息吹を吹き込みました。よりスケールの大きなサメの襲撃と、それに立ち向かう人々の葛藤は、観客に強烈な印象を与え、シリーズの中でも高い評価を受けています。シリーズファンのみならず、スリラー映画ファンにもおすすめの1作です。

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