ジョーダン・ウエレセ

ジョーダン・ウエレセ（Jordan Uelese、1997年1月24日生まれ）は、ラグビーユニオンのプロ選手であり、現在はフランスの最高峰リーグであるトップ14に所属するモンペリエ・エロー・ラグビーでプレーしている。彼の主要なポジションはフッカー（HO）。ニュージーランドの首都ウェリントンで生を受けたが、そのキャリアの大部分はオーストラリアで培われた。

生後間もない頃、彼の家族はニュージーランドを離れ、オーストラリアのビクトリア州、メルボルンへ移住した。8歳という幼い頃のこの移住が、後の彼のラグビー人生を決定づけることとなる。メルボルンで育ち、地元の名門校であるセントケビンズカレッジで学生ラグビーに打ち込んだ。オーストラリアのユース育成システムの中で頭角を現し、早くから将来を嘱望される存在となった。

学生生活を終えたウエレセは、オーストラリア国内のラグビーリーグでその実力を磨いた。当初はメルボルンを拠点とするチーム、メルボルン・ライジングで経験を積んだ。その後、オーストラリアを代表するラグビーユニオンチームの一つであり、スーパーラグビーに参加しているレベルズに2017年に加わった。レベルズでは、南半球の強豪チームが集まるスーパーラグビーという厳しい環境で約7シーズンにわたりプレーし、プロフッカーとしてのスキルと経験を積み重ねた。身長189cm、体重122kgというフッカーとしては非常に大きな体格は、スクラムの安定化やラインアウトでのリフト、そしてボールキャリアとしてのパワフルな突進など、多くの局面でチームに貢献した。

レベルズでの活躍が認められ、彼はオーストラリア代表、通称「ワラビーズ」に選出されることとなる。国際舞台でのデビューを果たして以来、ワラビーズのフッカー陣の中で重要な役割を担ってきた。2024年10月現在で、彼は国際テストマッチで18キャップを獲得している。彼の代表キャリアのハイライトの一つは、ラグビーユニオンにおける最高の舞台であるラグビーワールドカップへの連続出場である。2019年に日本で開催されたワールドカップ、そして2023年にフランスで開催されたワールドカップの両大会で、オーストラリア代表のメンバーとして選ばれ、世界の強豪国との激闘を経験した。ワールドカップという極限のプレッシャーの中でプレーした経験は、彼の精神力と技術力をさらに高めたことは間違いない。フッカーというポジションは、スクラムの最前列で相手フォワードと組み合い、ラインアウトで正確なスローイングを行い、さらにフィールド全体で運動量を発揮するなど、多岐にわたるスキルと強靭なフィジカルが求められる。ウエレセはこれらの要求に応えうる選手として、ワラビーズに貢献してきた。

長年、オーストラリアラグビーの中心で活躍してきたウエレセは、キャリアの新たな章を開くことを決意した。2024年、彼はスーパーラグビーを離れ、フランスのプロラグビーリーグであるトップ14に所属するモンペリエ・エロー・ラグビーへ移籍した。トップ14は、イングランドのプレミアシップと並び称される世界最高峰のプロリーグであり、世界中のトップクラスの選手たちが集まる場所である。特にフィジカルな衝突とセットプレーの精度が求められるこのリーグは、フッカーであるウエレセにとって新たな試練であり、同時に自身のプレーをさらに高いレベルへと引き上げるための絶好の機会となっている。モンペリエはトップ14でも実績のあるクラブであり、ウエレセの加入はチームのセットプレー強化に大きく貢献すると期待されている。

ニュージーランドで生を受け、オーストラリアで選手として成長し、現在はフランスのトップリーグでプレーしているジョーダン・ウエレセ。彼のキャリアは、南半球と北半球のラグビー文化を股にかけたものである。ワラビーズのフッカーとして培った経験と、トップ14で日々進化する彼のプレーは、所属チームであるモンペリエにとって貴重な戦力であり続けるだろう。また、今後もオーストラリア代表の候補として注目される存在であり、再び緑と金のジャージに袖を通す可能性も十分に考えられる。国際的な経験と若さを併せ持つウエレセの今後の活躍から、ラグビーファンは目を離すことができない。

もう一度検索