ジョー・ファルクス

ジョー・ファルクス：バスケットボールの革新者

ジョー・ファルクス（Joseph Franklin Fulks、1921年10月26日 - 1976年3月21日）は、NBAの前身であるBAA創立期に活躍したアメリカ合衆国の元プロバスケットボール選手です。196cmの長身を活かしたパワーフォワードとして、フィラデルフィア・ウォリアーズ（現ゴールデンステート・ウォリアーズ）を初代BAAチャンピオンに導き、その革新的なプレースタイルから「現代ゲームの父」「バスケットボール界のベーブ・ルース」と称えられました。

生い立ちとバスケットボールとの出会い

ケンタッキー州の小さな農村で生まれたファルクスは、幼少期を狩猟と釣りをして過ごしました。8歳の時、地元の高校のバスケットボールの試合を観戦したことがきっかけでバスケットボールに魅了されます。貧しい家庭環境のためすぐにボールを手に入れることはできませんでしたが、空き缶やレンガをゴールに投げ込む姿をコーチに見出され、才能が開花しました。

高校時代には、初期はジャンプシュートを抑制されるものの、転校を機にその才能が爆発。「クワッタ・クリッパー」の異名を持つスコアラーとして、チームを州チャンピオンシップに導きました。マレー州立大学に進学後も、3年間で平均13.2得点を記録し、NIAIバスケットボール殿堂入りを果たしています。

1943年には海兵隊に入隊し、南太平洋での勤務を経て、海兵隊オールスターチームでプレイしました。この頃には、ジャンプしてスピンをかけたシュートを放つ選手として、プロリーグ関係者の間で噂される存在となっていました。

BAAでの輝かしいキャリア

1946年、BAA（後のNBA）が創立されると、ファルクスはフィラデルフィア・ウォリアーズに入団。リーグ初年度から平均23.2得点で得点王に輝き、チームを初代BAAチャンピオンに導きました。彼の得点力は突出しており、2位の選手に6点以上の差をつける圧倒的なものでした。

特に、1948-49シーズンには、1試合63得点という当時のリーグ記録を樹立しました。これは1959年にエルジン・ベイラーに破られるまで、リーグ最高記録として長く保持されました。ファルクスの活躍は、24秒バイオレーションのルールがない時代において、1試合平均得点が80点程度の時代に、毎晩のように高得点を叩き出すという、見るものに大きなインパクトを与えました。

引退後と晩年

1953-54シーズンに引退後、ファルクスはGAF社での勤務を経て、エディヴィル刑務所のレクリエーション・ディレクターとして故郷に戻りました。1976年3月21日、少年時代を過ごしたクワッタで、口論の末に射殺され、54歳という若さで生涯を閉じました。

1978年には、その功績が認められ、バスケットボール殿堂入りを果たしました。

ジャンプシュートのパイオニア

ファルクスはジャンプシュートの創始者ではありませんが、その普及に大きく貢献したパイオニアとして知られています。当時、多くの選手がセットシュートを多用する中、ファルクスのジャンプシュートは観客を魅了し、バスケットボールの戦術に革命をもたらしました。

主な記録・受賞

BAA得点王：1947年
NBAオールスターゲーム出場：1951年, 1952年
オールBAA1stチーム：1947年〜1949年
オールNBA2ndチーム：1951年
BAAファイナル制覇：1947年
バスケットボール殿堂：1978年

ジョー・ファルクスの革新的なプレースタイルは、現代バスケットボールの基礎を築き、その功績は永遠に語り継がれるでしょう。

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