ジョー・マデュレイラ

ジョー・マデュレイラ：アメリカン・コミックス界の異才

ジョー・マデュレイラ（Joe Madureira、1974年12月3日 - ）は、アメリカを代表するコミック作家、作画家、そして脚本家です。彼の独特なアートスタイルは、多くのファンを魅了し、コミック業界に大きな影響を与えてきました。特に、マーベル・コミックの『アンキャニィX-MEN』での作画は、彼の名を一躍有名にしました。

生い立ちと初期のキャリア

1974年12月、マデュレイラはアゾレス諸島で、アメリカ人の母親とポルトガル人の父親の間に生まれました。幼い頃から絵を描くことに情熱を注ぎ、高校時代にはマンハッタンの美術学校に通い、その才能を磨きました。

高校在学中には、マーベル・コミックでインターンとして働き始め、編集者ダニー・フィンガースの指導を受けました。彼の最初の仕事は、『マーベルコミックスプレゼンツ』89号（1991年11月）のカバーアートでした。この作品には、当時人気を博していたアーサー・アダムスの影響が強く見られます。その後、92号（1992年12月）でもアートを手掛け、着実にキャリアを積み重ねていきました。

初期の段階から、マデュレイラは日本の漫画、特にアニメやゲームからの影響を積極的に取り入れていました。その独特なスタイルは、他のアメリカン・コミックス作家とは一線を画し、新たなファン層を獲得することに成功しました。

『アンキャニィX-MEN』での成功と新たな挑戦

1994年、マデュレイラは『アンキャニィX-MEN』の定期的なペンシラーとして、アートを担当するようになりました。彼の描くキャラクターは、力強く、躍動感にあふれており、作品の人気をさらに高める要因となりました。

1997年に『アンキャニィX-MEN』から降板した後、マデュレイラはワイルドストームのクリエイターが所有する『バトルチェイサーズ』のアートに取り組みました。しかし、4年間でわずか9冊しか出版されず、10号はキャンセルとなりました。その後、ティム・ドンリーとグレッグ・ピーターソンと共に、トライ・ルナルというゲーム開発会社を設立し、コミック制作から一時的に離れることになります。

トライ・ルナルでは、『Dragonkind』というゲームのコンセプトアートを制作しましたが、会社が廃業したため、ゲームはキャンセルされました。その後、Realm Interactiveに移籍し、『トレード・ウォーズ：Dark Millennium』の開発に携わりました。Realm InteractiveがNCソフトに買収された後は、『Exarch』というゲーム開発に貢献し、最終的に『Dungeon Runners』としてリリースされました。

ゲーム業界での活躍とコミック界への復帰

THQのクリエイティブディレクターとして、マデュレイラは『ダークサイダーズ』（Xbox 360/PlayStation 3）のキャラクターとセッティングをはじめとする開発業務に携わりました。コミックライターのジョー・ケリーがスクリプトを担当し、ゲームは2010年1月5日にヴィジル・ゲームスから発売されました。

長らくゲーム業界で活躍していたマデュレイラですが、2008年にはマーベル・コミックの『アルティメッツ3』のアーティストとしてコミック業界に復帰しました。そして、2011年6月13日には、ゼブ・ウェルズがライターを務める新しいシリーズ、『アベジング・スパイダーマン』の作画を担当することが発表されました。

2013年3月11日、マーベルは、ウェルズがシナリオを手掛ける『サベージ・ウルヴァリン』6号（2013年6月発売）の作画をマデュレイラが担当することを発表しました。彼の独特なタッチで描かれたウルヴァリンは、ファンから高い評価を受けました。

エアシップ・シンジケートの設立と『バトルチェイサーズ』の復活

2013年にTHQが倒産した後、マデュレイラは2015年初頭にビール・ゲームズの共同創設者であるライアン・ステファネリらと共に、テキサス州オースティンに新しいスタジオ「エアシップ・シンジケート」を設立しました。そして、かつて未完に終わった『バトルチェイサーズ』の世界観を共有するビデオゲームの開発に着手しました。

『Battle Chasers: Nightwar』は、2017年10月3日（北米時間）にマルチプラットフォームタイトルとして発売され、1年後の10月4日にはNintendo Switch向けにも発売されました。ゲームは、マデュレイラのアートスタイルを見事に再現し、多くのファンから支持を得ています。

ジョー・マデュレイラの才能は、コミック業界だけでなく、ゲーム業界でも高く評価されています。彼の今後の活躍から目が離せません。

主な作品

Excalibur #57–58 (Marvel Comics, 1992)
Deadpool: The Circle Chase #1–4 (Marvel Comics, 1993)
Uncanny X-Men #312–313, 316–317, 325–326, 328–330, 332, 334–338, 340–343, 345–348, 350 (Marvel Comics, 1994–1997)
Astonishing X-Men #1–4 (Marvel Comics, 1995)
Battle Chasers #0, #1–9 (Cliffhanger, Image Comics, 1998–2001)
Ultimates 3 #1–5 (Marvel Comics, 2008)
Avenging Spider-Man #1–3 (Marvel Comics, 2011–2012)
Savage Wolverine #6–8 (Marvel Comics, 2013)
Inhuman #1–3 (Marvel Comics, 2014)

その他の貢献

カプコン、セガサターン/PlayStation'>[マーヴル・スーパーヒーローズ] - カバーデザイン
* Gekido：Urban Fighters(NAPS team,PlayStation) - カバーデザイン

もう一度検索