スイス歴史事典

スイス歴史事典：スイスの歴史を紐解く多言語百科事典

『スイス歴史事典』は、スイスの歴史を深く掘り下げた百科事典です。スイスの歴史研究の発展に貢献することを目的とし、国家予算による支援を受けて編纂・発行されています。スイス人文社会科学アカデミーとスイス歴史学会の強力な後援を得ており、その信頼性と学術的な価値は高く評価されています。

壮大なプロジェクト：多くの専門家による協働

この事典の編纂は、マルコ・ヨリオ率いる40名以上のスタッフを中心に進められました。100名を超える学識経験者、2500名以上の歴史家、そして100名以上の翻訳家が、長年にわたる綿密な調査と執筆作業に携わっています。1921年から1934年にかけて編集された『スイス歴史人名事典』を基盤として、新たな知見を取り入れながら、現代的な視点からスイスの歴史を体系的に記述しています。

多言語対応：スイスの多様な言語文化を反映

『スイス歴史事典』は、スイスの主要言語であるドイツ語、フランス語、イタリア語の3カ国語で同時並行して編纂されました。2002年にはそれぞれの言語版の最初の巻が同時に発行され、その後は毎年1巻ずつ刊行が続けられ、2014年に全13巻が完成しました。さらに、これらの内容を抜粋・要約した2巻からなるロマンシュ語版も発行されています。

各言語版の刊行情報（抜粋）：

ドイツ語版 (Historisches Lexikon der Schweiz - HLS): Schwabe AG社より発行。
フランス語版 (Dictionnaire Historique de la Suisse - DHS): Éditions Gilles Attinger社より発行。
イタリア語版 (Dizionario Storico della Svizzera - DSS): Armando Dadò editore社より発行。
ロマンシュ語版 (Lexicon Istoric Retic - LIR): Desertina社より発行。

膨大な情報量：約4万項目を網羅

この百科事典は、人物名、家系名、地名（自治体、州、国、城塞、史跡など）、歴史に関する出来事、法令など、多岐にわたる約4万項目を網羅しています。アルファベット順に項目が配列されているため、必要な情報を探し出すことが容易です。

アクセスしやすいオンライン版

1998年からオンライン版が公開されており（ロマンシュ語版は2004年から）、誰でも無料で閲覧できます。全ての項目が印刷可能な形式で提供されていますが、図版は掲載されていません。オンライン版では、約4万項目全てをリストで確認することが可能です。

まとめ：スイスの歴史研究に貢献する貴重な資源

『スイス歴史事典』は、その詳細さと網羅性、そして多言語対応によって、スイスの歴史研究において極めて貴重な資源となっています。専門家のみならず、一般の人々にとっても、スイスの歴史を理解するための優れたツールと言えるでしょう。オンライン版の公開によって、世界中の誰でもこの膨大な知識にアクセスできるようになったことは、大きな意義を持っています。

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