スウィンギング・ブルー・ジーンズ
ザ・スウィンギング・ブルー・ジーンズは、1960年代中盤に世界を席巻したブリティッシュ・インヴェイジョンの波に乗って登場した、イギリス・リヴァプール出身のロックバンドです。彼らは「ヒッピー・ヒッピー・シェイク」や「グッド・ゴリー・ミス・モリー」といったヒット曲を放ち、そのエネルギッシュなサウンドで知られています。
バンドの起源は1956年頃に遡ります。ギタリストであり後にリードボーカルも務めるレイ・エニスを中心に、スキッフルバンドとして活動を開始しました。当初は、ロカビリーのスター、ジーン・ヴィンセントへの敬意を込めて「The Swinging Bluegenes」と名乗っていました。転機の一つは1958年。地元リヴァプールのエンパイア劇場で開催されたバンドコンテストでの優勝です。このコンテストで2位だったバンドに在籍していたラルフ・エリス（リズム・ギター、ボーカル）が加入し、バンドは更なる強化を図ります。1961年頃には、ベースとボーカル、後にキーボードも担当するレス・ブレイド、そしてドラムスとボーカルのノーマン・クールクが加わり、バンドの核となるラインナップが形成されました。
1962年、彼らはマルティグラというクラブのオーナー、ジム・アイルランドとマネージメント契約を結びます。アイルランドの紹介で、当時イギリス音楽界で異才を放っていたプロデューサー、ジョー・ミークのオーディションを受けますが、残念ながら合格には至らず、バンドは演奏技術の向上に一層励むこととなります。1963年、バンド名をより現代的な響きの「The Swinging Blue Jeans」に改称。同年にはEMI傘下のHMVレコードと契約を結び、6月にシングル「イッツ・トゥー・レイト・ナウ」でプロデビューを果たします。この曲は全英シングルチャートで30位とまずまずのヒットを記録しました。続く9月のシングル「ドゥ・ユー・ノウ」は残念ながらチャートインしませんでしたが、この頃、リヴァプールに工場を持つジーンズメーカーがスポンサーとなり、海賊放送局ラジオ・ルクセンブルクで15分番組『スウィンギング・タイム』を持つなど、地道に知名度を上げていきました。そして12月、彼らのキャリア最大のヒットとなるシングル「ヒッピー・ヒッピー・シェイク」（チャン・ロメロのカバー）をリリース。この曲は全英チャートで2位まで駆け上がり、翌1964年にはアメリカでもBillboard Hot 100で24位を記録する大ヒットとなりました。この成功を受けて、アメリカの人気テレビ番組『エド・サリヴァン・ショー』からの出演オファーが舞い込みますが、既にヨーロッパツアーの契約があったため、彼らはこの貴重な機会を辞退するという選択をしています。
「ヒッピー・ヒッピー・シェイク」に続いて、リトル・リチャードのカバー「グッド・ゴリー・ミス・モリー」が全英11位、ベティ・エヴァレットのカバー「悪いあなた (You're no good)」が全英3位と、コンスタントにヒットを飛ばしました。特に「悪いあなた」は本国イギリスで大きな成功を収めましたが、奇妙なことに、この曲は後にリンダ・ロンシュタットやヴァン・ヘイレンのカバーによってアメリカで大ヒットすることになります。しかし、その後は以前のような勢いが続かず、次のチャートインは1966年1月リリースのディオンヌ・ワーウィックのカバー「ドント・メイク・ミー・オーバー」まで待つことになります。この曲は31位を記録しましたが、これを最後に彼らのシングルはイギリスの主要チャートに登場しなくなりました。
ヒットから遠ざかる中で、バンドはメンバーチェンジを経験します。1966年にはリズム・ギターのラルフ・エリスが脱退。代わりに、同じリヴァプールのバンド、ザ・エスコーツからテリー・シルヴェスター（リズム・ギター、ボーカル）とマイク・グレゴリー（ベース）が加入しました。これに伴い、レス・ブレイドはキーボードをメインに担当するようになります。オリジナルメンバーはレイ・エニスとレス・ブレイドの二人だけとなりましたが、バンドは活動を継続。カナダ人メンバーなども迎え入れながら、第一線からは退きつつも、キャバレーやクラブを中心にライブ活動を行いました。
2000年代に入ってもザ・スウィンギング・ブルー・ジーンズは存続していましたが、長年バンドを支えたレス・ブレイドが2005年7月31日、肺がんのため67歳でこの世を去りました。また、レイ・エニスもバンド唯一のオリジナルメンバーとして活動を続けていましたが、2010年12月のリヴァプールでのライブを最後に惜しまれつつ引退しました。現在、オリジナルメンバーは一人も在籍していませんが、ザ・スウィンギング・ブルー・ジーンズは名前を変えることなく、新たなメンバーによってその音楽活動を受け継ぎ、ライブを行っています。彼らはブリティッシュ・インヴェイジョン期のリヴァプール出身バンドとして、同時代のザ・ビートルズやホリーズなどと共に語られる存在です。
"It's Too Late Now" / "Think of Me" (1963年) - 全英30位
"Do You Know" / "Angie" (1963年)
"Hippy Hippy Shake" / "Now I Must Go" (1963年) - 全英2位, 米24位
"Good Golly Miss Molly" / "Shaking Feeling" (1964年) - 全英11位, 米43位
"You're No Good" / "Don't You Worry About Me" (1964年) - 全英3位, 米97位
"Promise You'll Tell Her" / "It's So Right" (1964年) - 米130位
"It Isn't There" / "One of These Days" (1964年)
"Make Me Know You're Mine" / "I've Got a Girl" (1965年)
"Crazy 'Bout My Baby" / "Good Lovin'" (1965年)
"Don't Make Me Over" / "What Can I Do Today" (1966年) - 全英31位, 米116位
"Sandy" / "I'm Gonna Have You" (1966年)
"Rumours, Gossip, Words Untrue" / "Now the Summer's Gone" (1966年)
"Tremblin'" / "Something's Coming Along" (with Kiki Dee, Madeline Bell), (1967年)
Hippy Hippy Shake (1964年) - 米90位
Blue Jeans a'Swinging (1964年)
Live aus dem "Cascade Beat Club" in Köln (1965年)
* Don't Make Me Over (1966年)
バンドの起源は1956年頃に遡ります。ギタリストであり後にリードボーカルも務めるレイ・エニスを中心に、スキッフルバンドとして活動を開始しました。当初は、ロカビリーのスター、ジーン・ヴィンセントへの敬意を込めて「The Swinging Bluegenes」と名乗っていました。転機の一つは1958年。地元リヴァプールのエンパイア劇場で開催されたバンドコンテストでの優勝です。このコンテストで2位だったバンドに在籍していたラルフ・エリス（リズム・ギター、ボーカル）が加入し、バンドは更なる強化を図ります。1961年頃には、ベースとボーカル、後にキーボードも担当するレス・ブレイド、そしてドラムスとボーカルのノーマン・クールクが加わり、バンドの核となるラインナップが形成されました。
1962年、彼らはマルティグラというクラブのオーナー、ジム・アイルランドとマネージメント契約を結びます。アイルランドの紹介で、当時イギリス音楽界で異才を放っていたプロデューサー、ジョー・ミークのオーディションを受けますが、残念ながら合格には至らず、バンドは演奏技術の向上に一層励むこととなります。1963年、バンド名をより現代的な響きの「The Swinging Blue Jeans」に改称。同年にはEMI傘下のHMVレコードと契約を結び、6月にシングル「イッツ・トゥー・レイト・ナウ」でプロデビューを果たします。この曲は全英シングルチャートで30位とまずまずのヒットを記録しました。続く9月のシングル「ドゥ・ユー・ノウ」は残念ながらチャートインしませんでしたが、この頃、リヴァプールに工場を持つジーンズメーカーがスポンサーとなり、海賊放送局ラジオ・ルクセンブルクで15分番組『スウィンギング・タイム』を持つなど、地道に知名度を上げていきました。そして12月、彼らのキャリア最大のヒットとなるシングル「ヒッピー・ヒッピー・シェイク」（チャン・ロメロのカバー）をリリース。この曲は全英チャートで2位まで駆け上がり、翌1964年にはアメリカでもBillboard Hot 100で24位を記録する大ヒットとなりました。この成功を受けて、アメリカの人気テレビ番組『エド・サリヴァン・ショー』からの出演オファーが舞い込みますが、既にヨーロッパツアーの契約があったため、彼らはこの貴重な機会を辞退するという選択をしています。
「ヒッピー・ヒッピー・シェイク」に続いて、リトル・リチャードのカバー「グッド・ゴリー・ミス・モリー」が全英11位、ベティ・エヴァレットのカバー「悪いあなた (You're no good)」が全英3位と、コンスタントにヒットを飛ばしました。特に「悪いあなた」は本国イギリスで大きな成功を収めましたが、奇妙なことに、この曲は後にリンダ・ロンシュタットやヴァン・ヘイレンのカバーによってアメリカで大ヒットすることになります。しかし、その後は以前のような勢いが続かず、次のチャートインは1966年1月リリースのディオンヌ・ワーウィックのカバー「ドント・メイク・ミー・オーバー」まで待つことになります。この曲は31位を記録しましたが、これを最後に彼らのシングルはイギリスの主要チャートに登場しなくなりました。
ヒットから遠ざかる中で、バンドはメンバーチェンジを経験します。1966年にはリズム・ギターのラルフ・エリスが脱退。代わりに、同じリヴァプールのバンド、ザ・エスコーツからテリー・シルヴェスター（リズム・ギター、ボーカル）とマイク・グレゴリー（ベース）が加入しました。これに伴い、レス・ブレイドはキーボードをメインに担当するようになります。オリジナルメンバーはレイ・エニスとレス・ブレイドの二人だけとなりましたが、バンドは活動を継続。カナダ人メンバーなども迎え入れながら、第一線からは退きつつも、キャバレーやクラブを中心にライブ活動を行いました。
2000年代に入ってもザ・スウィンギング・ブルー・ジーンズは存続していましたが、長年バンドを支えたレス・ブレイドが2005年7月31日、肺がんのため67歳でこの世を去りました。また、レイ・エニスもバンド唯一のオリジナルメンバーとして活動を続けていましたが、2010年12月のリヴァプールでのライブを最後に惜しまれつつ引退しました。現在、オリジナルメンバーは一人も在籍していませんが、ザ・スウィンギング・ブルー・ジーンズは名前を変えることなく、新たなメンバーによってその音楽活動を受け継ぎ、ライブを行っています。彼らはブリティッシュ・インヴェイジョン期のリヴァプール出身バンドとして、同時代のザ・ビートルズやホリーズなどと共に語られる存在です。
ディスコグラフィ
シングル
"It's Too Late Now" / "Think of Me" (1963年) - 全英30位
"Do You Know" / "Angie" (1963年)
"Hippy Hippy Shake" / "Now I Must Go" (1963年) - 全英2位, 米24位
"Good Golly Miss Molly" / "Shaking Feeling" (1964年) - 全英11位, 米43位
"You're No Good" / "Don't You Worry About Me" (1964年) - 全英3位, 米97位
"Promise You'll Tell Her" / "It's So Right" (1964年) - 米130位
"It Isn't There" / "One of These Days" (1964年)
"Make Me Know You're Mine" / "I've Got a Girl" (1965年)
"Crazy 'Bout My Baby" / "Good Lovin'" (1965年)
"Don't Make Me Over" / "What Can I Do Today" (1966年) - 全英31位, 米116位
"Sandy" / "I'm Gonna Have You" (1966年)
"Rumours, Gossip, Words Untrue" / "Now the Summer's Gone" (1966年)
"Tremblin'" / "Something's Coming Along" (with Kiki Dee, Madeline Bell), (1967年)
アルバム
Hippy Hippy Shake (1964年) - 米90位
Blue Jeans a'Swinging (1964年)
Live aus dem "Cascade Beat Club" in Köln (1965年)
* Don't Make Me Over (1966年)
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