スエヒロ

スエヒロ

「スエヒロ」という屋号は、主にステーキなどの肉料理を中心とした洋食店、ファミリーレストラン、さらには学生食堂など、多様な形態で利用されています。その起源は、大正時代に大阪市で開業した「ビフテキのスエヒロ」（後の株式会社スエヒロ朝日）に遡ります。この屋号を掲げる事業者の中には、「スエヒロ会」と呼ばれる組織を結成し、創業時の「ビフテキのスエヒロ」が培った伝統の継承に力を入れているグループが存在します。

創業と歴史

スエヒロの歴史は、創業者である上島歳末によって始まりました。彼は1910年3月10日、大阪市北区堂島上二丁目で洋食店「弘得社」（こうとくしゃ）を開業します。その後、1920年3月10日には同じく堂島にて「ビフテキ専門スエヒロ」を開店し、その運営会社を「株式会社スエヒロ朝日」としました。この「ビフテキ専門スエヒロ」の成功を礎に、「スエヒロ」の屋号は暖簾分けという形で全国各地へと展開していきました。スエヒロ会では、弘得社の創業からビフテキ専門スエヒロの開業までをスエヒロの揺るぎない起源と位置づけており、2010年3月10日には創業から100周年を迎えたとされています。

暖簾分けと現状

「ビフテキ専門スエヒロ」からの暖簾分けを通じて全国に広がったスエヒロですが、運営する事業者によって、店舗の雰囲気、サービス提供のシステム、価格帯などが異なり、多様なスタイルで展開されています。しかしながら、スエヒロ会に加盟する各店舗では、創業者の理念を受け継ぎ、特にソースの製法など、伝統の味を守る努力がなされています。

暖簾分けは、1933年の銀座への出店以降、創業者に近しい関係者を中心に進められました。1980年の時点では9社が存在していましたが、2020年代に入ってもなお、主に関東と関西に複数の企業が「スエヒロ」をルーツとする店舗を運営しています。ただし、スエヒロの屋号を冠していても、全ての事業者がスエヒロ会に所属しているわけではありません。例えば、株式会社スエヒロレストランシステムは、日本ハムを経て株式会社あみやき亭の子会社となっており、スエヒロ会の枠組みには属していません。

主な運営企業

現在、「スエヒロ」あるいはそれをルーツとする屋号を掲げている代表的な企業には以下のようなものがあります。これら以外にも関連する店舗が存在します。

スエヒロ会所属

株式会社永楽町スエヒロ本店（大阪）
株式会社平野町スエヒロ（大阪）
株式会社淀屋橋スエヒロ（大阪）
株式会社京都スエヒロ（京都）
株式会社スエヒロ（東京・銀座）

スエヒロ会非所属

銀座スエヒロカフェテリアグループ（東京）: 株式会社スエヒロ（上記とは異なる）などを運営し、コントラクトフードサービスを展開、関電系列への出資も行っています。
株式会社銀座4丁目スエヒロ: 2013年にスエヒロ商事株式会社の関連会社から事業を譲り受け独立しました。「銀座4丁目スエヒロ」の商標で、ハンバーグやカレー、シチューなどのレストランメニューの通信販売事業などを手掛けています。
スエヒロ商事株式会社（東京）: かつて航空会館スエヒロなどを運営していましたが、1990年代以降の経済低迷やBSE問題に加え、価格設定や運営コンセプトの迷走などにより経営が悪化。東日本大震災の影響で主力の航空会館スエヒロの売上が激減し、2014年2月7日に破産手続きを開始しました。関係者からは、経営陣が現場に関与しなかった点が指摘されています。
株式会社スエヒロフーズ（埼玉・茨城）: 兄弟会社がコントラクトフードサービスを展開しています。
株式会社スエヒロ レストランシステム（神奈川）: 株式会社あみやき亭の子会社として、「スエヒロ館」などのファミリーレストランや焼肉店を運営しています。
* 近江スエヒロ（滋賀）: 1982年に大阪の永楽町スエヒロから暖簾分けされた「スエヒロ草津店」を源流とします。2011年11月に現商号に変更され、南グループ傘下の日本観光開発株式会社のレストラン&フード事業部門が運営しています。

このように、「スエヒロ」は一つの源流から枝分かれし、伝統を守るグループと、新たな形態で事業を展開するグループが存在する、複雑で多様な歴史を持つ屋号と言えます。

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