スクライング

スクライング（英: scrying)は、特定の物体や物理現象を注視することで、通常の視覚では捉えられない幻視を得る技法の総称です。古くから占いの手段として用いられ、儀式魔術においては、霊的存在の姿を確認したり、アストラル界のヴィジョンを得るために利用されてきました。

スクライングに用いられるもの

スクライングには、ある種の光学特性を持つ物体が用いられることが多く、特に水晶やガラス、水などが代表的です。中でも、水晶球を用いたスクライングはよく知られており、「クリスタルゲイジング（crystal gazing）」、あるいは「水晶球観照」と呼ばれています。また、水晶球を用いた占いは「crystallomancy（水晶占い）」とも呼ばれます。

現代の儀式魔術やウィッチクラフトにおいては、円形のガラス板の裏面を黒く塗ったものが「魔法鏡」と称され、スクライングに用いられることがあります。黒い表面が、潜在意識からのイメージを浮かび上がらせるための背景として機能すると考えられています。

黄金の夜明け団におけるスクライング

黄金の夜明け団の文書においては、タットヴァ（元素の象徴図形）などの象徴的な図形を観想し、幻視を得る手法もスクライングの一種として扱われています。ただし、この文脈では「skrying」と綴られることが多いようです。

スクライングの実践

スクライングの実践においては、リラックスした状態を保ち、心を静めることが重要です。対象となる物体を注視し、浮かび上がってくるイメージに注意を向けます。焦らず、根気強く続けることで、徐々に幻視を得られるようになると言われています。得られたイメージは、象徴的な意味を持つことが多いため、解釈を通じて自己理解を深めることも可能です。

関連項目

アストラル旅行：意識が肉体を離れ、アストラル界を旅する体験。スクライングによってアストラル界のヴィジョンを得ることは、アストラル旅行への準備段階とも考えられます。
ジャムシードの杯：ペルシア神話に登場する支配者ジャムシードの所有物。エリクサーで満たされており、スクライングによって未来を占うために用いられたと伝えられています。

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