スクリーン線数

スクリーン線数とは？

印刷物の精細さを示す尺度として知られるスクリーン線数（lpi: lines per inch）。これは、1インチあたりの網点の数を表し、数値が高いほど精細な印刷が可能になります。かつてはオフセット[[印刷]]で用いられる網の線の密度を指していましたが、現在では網点を使わないインクジェット印刷などにも適用されています。ただし、ピクセル密度（ppi）やドット密度（dpi）とは異なり、単純な換算はできません。 スクリーン線数とlpiはしばしば混同して使われますが、lpiは単位であり、スクリーン線数はその量です。

スクリーン線数の歴史と仕組み

スクリーン線数は、オフセット[[印刷]]の黎明期、網（スクリーン）を用いて原版に網点を形成していたことに由来します。網の目の細かさが印刷の精細さに直結していたため、この網の密度をスクリーン線数と呼ぶようになりました。単位がインチあたりだったのは、網の製造や計測においてインチが用いられていたためです。

さまざまな印刷方式におけるスクリーン線数

オフセット[[印刷]]

オフセット[[印刷]]では、階調表現のために網点を使用します。網点は複数のドットで構成されており、そのドット数とスクリーン線数の関係は階調数に依存します。例えば、256階調の場合、網点は最大16×16ドットとなり、lpiはdpiの1/16以下になります。デジタルデータからの印刷では、網点の配置が直線的なためジャギーが発生することがあります。これを防ぐには、lpiをppiの1.5倍、できれば2倍にする必要があります。

インクジェットプリンター

インクジェットプリンターは網点を使用しませんが、オフセット[[印刷]]と同様のdpiとlpiの関係が成り立ちます。網点を使用しないため、lpiがppiと同程度でもジャギーは発生しにくいです。

昇華型プリンター

昇華型プリンターは、1ドットで多階調表現が可能なため、lpiはdpiに近くなります。ただし、インクのにじみなどによってlpiは実際には低くなります。

2値印刷

文字などの2値印刷では、1インチあたりの線の数を表します。印刷部分と地の部分の線の合計数で表すのが一般的です。インクのにじみなどにより、lpiはdpiより低くなります。

実際の印刷物におけるスクリーン線数

印刷物の種類によって適切なスクリーン線数は異なります。

新聞：60～80 lpi（新聞紙の紙質が粗いため）
雑誌・書籍（モノクロ）：80～133 lpi
カタログ、写真雑誌、チラシ（カラー）：175～240 lpi
高精細印刷：400 lpi以上

スクリーン線数を高くすれば精細な印刷が可能になりますが、紙質との適合性が重要です。紙質に合わないスクリーン線数では、かえって印刷品質が低下する可能性があります。高精細印刷には、表面を平滑化処理したコート紙やアート紙が使用されます。

AMスクリーニングとFMスクリーニング

これまで説明してきたのは、網点の大きさで階調を表現するAMスクリーニングです。これに対し、FMスクリーニングは、ミクロン単位の印刷点の密集度で階調を表現します。FMスクリーニングではスクリーン線数は用いられず、AMスクリーニングで問題となるモアレ現象もほぼ解消されています。現在では、新聞や雑誌を中心にFMスクリーニングが普及しつつありますが、AMスクリーニングとFMスクリーニングはそれぞれ得意不得意な絵柄が異なるため、印刷会社によって最適な方法を選択しています。 AMスクリーニングを使い続け、線数を増やすことで高精細化を目指すケースもあります。

まとめ

スクリーン線数は、印刷物の精細さを示す重要な指標です。印刷方式、階調数、紙質などを考慮して、適切なスクリーン線数を選択することが高品質な印刷には不可欠です。AMスクリーニングとFMスクリーニングの違いも理解することで、より高度な印刷技術について理解を深めることができるでしょう。

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