スケンデリヤ

スケンデリヤは、ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボ市に位置する、文化・スポーツ・貿易の中心地です。70,000平方メートルの広大な敷地には、多目的ホール、ショッピングセンター「Privredni grad」、青少年会館など、様々な施設が集まっています。年間を通じてスポーツ、文化、貿易など多岐にわたるイベントが開催され、地元住民にとって重要な役割を果たしています。

歴史

スケンデリヤの建設は、1960年代後半にサラエボ市が急速に発展したことがきっかけでした。当時、市内には大規模な展示場やスポーツ施設が不足しており、新たな文化・スポーツ拠点の必要性が高まっていました。そこで、サラエボ市はスケンデリヤ・センターの建設を計画し、1969年11月29日にこけら落としが行われました。こけら落としでは、映画『ネレトバの戦い』が世界で初めて上映されました。

スケンデリヤという名前は、「スケンダーの場所」という意味を持ち、15世紀にこの地に最初の貿易センターとイスラム教の修道院を建設したボスニアの著名な宗教指導者、Sandžak-beg Skender-pašaに由来しています。

旧ユーゴスラビア時代には、数多くの文化的イベントが開催され、スケンデリヤは広く知られるようになりました。特に、青少年会館「Dom mladih」は、ユーゴスラビアで最もモダンで西洋的なクラブの一つとして、若者たちに絶大な人気を誇りました。バルカンポップ音楽の大スター、ディノ・メルリンもこの場所で活動を始めたことで知られています。また、中心部には大規模なショッピングモール「Privredni grad」があり、多くの人々で賑わっています。

1977年、サラエボが1984年冬季オリンピックの開催地に決定すると、スケンデリヤはフィギュアスケートとアイスホッケーの会場として改築されました。既存の施設に加え、最新鋭のアイススポーツセンターとして拡張され、オリンピック期間中は選手や報道陣の拠点となりました。

ボスニア紛争とその後

1992年にボスニア紛争が勃発すると、スケンデリヤも砲火にさらされました。幸い、建物の主要構造は大きな被害を免れましたが、青少年会館は全焼し、使用不能となりました。

紛争後、スケンデリヤは一時的にその必要性が失われ、荒廃が進みました。しかし、1999年にサラエボ市がボスニア・ヘルツェゴビナにおける経済と貿易の再建を目指し、展示ホールの建設を計画しました。2000年から2006年にかけて、スケンデリヤは徐々に再建され、多くの民間企業からの資金提供によって、その所有権も民間団体に移りました。現在では、スケンデリヤはかつての機能をほぼ回復し、年間50万人以上の来場者数を誇っています。

2012年の屋根崩落事故

2012年2月12日、アイスホールセンターの屋根が記録的な大雪の重みに耐えきれず崩壊するという事故が発生しました。屋根は1平方メートルあたり100kgの荷重に耐えられるように設計されていましたが、当時の雪の重量は1平方メートルあたり約160kgにも達していました。

スケンデリヤは、サラエボ市民にとって歴史的にも文化的にも重要な場所であり、今後も様々なイベントを通じて、その役割を果たし続けることが期待されています。

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