スズキ・ジェンマ

ジェンマシリーズ：スズキのスクーターの歴史を彩る名車たち

この記事では、スズキが製造販売していたスクーター「ジェンマ」シリーズについて、その歴史、モデルバリエーション、海外展開、そしてリコール情報まで詳細に解説します。1980年代のスクーターブームの中で生まれた50ccモデルから、2000年代に登場した個性的な250ccモデルまで、ジェンマの歩みをたどってみましょう。

ジェンマ誕生の背景

1970年代後半から1980年代初頭にかけて、ヤマハのパッソルやホンダのタクトといったスクーターが大ヒットしました。この成功を受け、スズキもスクーター市場への参入を決意。1981年、同社初のスクーターとして「ジェンマ50」が誕生しました。

ジェンマ50：スズキ初のスーツケース

ジェンマ50は、キックスターターと12V電装のスタンダードモデルから、セルフスターターとキー付きセンターボックスを備えたスーパーデラックスモデルまで、様々なグレードが用意されました。1984年には最高出力が向上するなど改良が加えられ、後継モデルの登場まで長く販売されました。

ジェンマ50 主要諸元 (1981年型 スーパーデラックス)

エンジン：強制空冷単気筒2ストローク49cc
最高出力：3.5ps/5500rpm
乾燥重量：65kg
変速機形式：常時噛合式オートマチック3段
価格：139,000円

ジェンマ80とジェンマ125：排気量拡大と多様なニーズへの対応

ジェンマ50の成功を受け、スズキは排気量を拡大したジェンマ80と、全く新しい設計のジェンマ125を発売しました。ジェンマ80はジェンマ50のエンジンを拡大したモデルで、2名乗車も可能でした。一方、ジェンマ125はジェンマ50とは異なる設計で、イタリアンスクーターを思わせるスタイリッシュなデザインが特徴でした。ジェンマ125は、ビジネスユース向けのシングルシート仕様と、ツーリング向けのダブルシート仕様が用意されました。

ジェンマ125 主要諸元 (1982年型 デラックス)

エンジン：強制空冷単気筒4ストロークSOHC2バルブ124cc
最高出力：8ps/7500rpm
乾燥重量：92kg
変速機形式：常時噛合式オートマチック3段
価格：239,000円

ジェンマ80 主要諸元 (1983年型)

エンジン：強制空冷単気筒2ストローク79cc
最高出力：6.7ps/6500rpm
乾燥重量：73kg
変速機形式：常時噛合式オートマチック3段
価格：174,000円

海外展開：RoadieとLido

ジェンマシリーズは、日本国内だけでなく、海外市場にも進出しました。イギリスとオーストラリアでは「Roadie」として、オーストリアと西ドイツではシュタイア・ダイムラー・プフ社によって「Puch Lido」として販売されました。

ジェンマ・クエスト：モデルチェンジと進化

1986年、ジェンマ50とジェンマ80は「ジェンマ・クエスト50」と「ジェンマ・クエスト90」としてモデルチェンジされました。Vベルト無段変速機の採用やデザインの刷新など、様々な改良が加えられました。

ジェンマ・クエスト50 主要諸元 (1986年型)

エンジン：強制空冷単気筒2ストローク49cc
最高出力：6.5ps/6500rpm
乾燥重量：60kg
変速機形式：Vベルト無段変速
価格：139,000円

ジェンマ・クエスト90 主要諸元 (1986年型)

エンジン：強制空冷単気筒2ストローク82cc
最高出力：7.2ps/6500rpm
乾燥重量：67kg
変速機形式：Vベルト無段変速
価格：176,000円

2008年、ジェンマ復活：250ccクラスの大型スクーター

1990年代に一旦生産が終了したジェンマの名は、2008年、250ccクラスの大型スクーターとして復活しました。流線型のボディデザインやフルフラットシートなど、快適性を重視した設計が特徴です。しかし、独特なリアデザインが海外市場の規制に適合しなかったため、日本市場限定モデルとなりました。

2008年型 ジェンマ 主要諸元

エンジン：水冷DOHC4バルブ249cc
* 価格：670,950円～681,450円

リコール情報

2010年と2016年には、ジェンマ（250ccモデル）について、前照灯と整流器に関するリコールが行われました。

まとめ

ジェンマシリーズは、スズキのスクーターの歴史を語る上で重要な存在です。50ccから250ccまで幅広い排気量展開、海外市場への進出、そして個性的なデザインなど、様々な魅力を備えています。この記事が、ジェンマシリーズの魅力を再発見する一助となれば幸いです。

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