スズキ・薔薇

スズキの女性向けコンパクトスクーター「薔薇」：軽快な走りと可愛らしいデザイン

1983年10月、スズキは女性ライダーをターゲットにした画期的なスクーター「薔薇（ばら）」を発表しました。その最大の特徴は、なんといってもその軽量性とコンパクトさです。乾燥重量わずか41kgという、取り回しの容易さを追求した設計は、当時のスクーター市場において革新的な試みでした。

搭載されたエンジンは、空冷2ストローク3.8馬力。力強い走りというよりは、街中での軽快な移動を重視した設計となっています。デザインも、その時代のトレンドを反映した可愛らしいもので、女性ユーザーの心を掴むのに成功しました。「薔薇」は、先に発売され好評を得ていた女性向けスクーター「蘭」をさらに小型軽量化したモデルとして登場し、その人気を受け継ぎました。

モデルバリエーションと進化

「薔薇」は発売後も改良が重ねられ、いくつかのモデルチェンジが行われました。主なモデルは以下の通りです。

CY50 (1983年): 初代のモデル。セルスターターは搭載されていませんでした。
CY50 / CY50D (1984年): セルスターターの有無で2つのモデルが展開されました。「50」がセル無し仕様、「50D」がセル付き仕様です。この改良により、始動の容易さが向上しました。
CY50C (1986年): スペシャルエディションとして登場。特別なカラーリングや装備が施された限定モデルだったと考えられます。
CY50CJ (1988年): さらなる改良が加えられたモデル。具体的な変更点は資料が不足しているため不明ですが、性能やデザインの向上などが図られたと考えられます。
* CY50CK (1989年): 最終モデル。それまでのモデルをベースに、更なるブラッシュアップが施されたものと思われます。

これらのモデルチェンジを通して、「薔薇」は時代のニーズに合わせて進化を続けました。

スズキ歴史館での展示

現在、静岡県浜松市にあるスズキ歴史館では、「薔薇」と「蘭」の両方が展示されています。当時のスズキの技術力やデザイン性を垣間見ることができる貴重な展示物として、多くの来場者を引き付けています。これらのスクーターは、日本のモータリゼーションの歴史を語る上で重要な証言者と言えるでしょう。

まとめ

「薔薇」は、軽量コンパクトなボディと可愛らしいデザインで、多くの女性ライダーに愛されたスクーターでした。その存在は、単なる乗り物としてだけでなく、時代の象徴として、そしてスズキの歴史を彩る一ページとして記憶されています。スズキ歴史館で「薔薇」と「蘭」を実際に見て、当時の技術やデザインに触れてみるのも良いでしょう。 「薔薇」の開発秘話や、当時のマーケティング戦略なども興味深い点です。 より詳細な情報を知るためには、スズキの公式資料や、当時のバイク雑誌などを参照する必要があるでしょう。

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