スズキ・GSX-R250

スズキGSX-R250シリーズ：レーサーレプリカの系譜

1980年代、レーサーレプリカブームを牽引したスズキのGSX-Rシリーズ。その末弟として1987年に登場したGSX-R250は、400、750、1100ccモデルに続く、シリーズの250cc版として多くのライダーを魅了しました。本記事では、GSX-R250、そして派生モデルであるGSX-R250R、GSX250S COBRAについて、その歴史と特徴を詳しく解説します。

GSX-R250：250ccクラスのレーサーレプリカ

GSX-R250は、1987年3月28日に発売されました。水冷DOHC4バルブ直列4気筒エンジンを搭載し、最高出力45psを14,500rpmで発揮。ヨシムラと共同開発した、SPECと呼ばれるマフラーを採用するなど、性能にもこだわった設計がなされています。特徴的な丸目二灯のヘッドライトは、GSX-Rシリーズ伝統のデザインを受け継いでいます。

発売当初は、フルカウル仕様と、価格を抑えたハーフカウル仕様がラインナップされました。その後、1988年、1989年とマイナーチェンジが行われ、ウィンカー形状、メーターパネル、マフラー、ラジエーターなどのデザインが変更されました。また、クロスミッションを採用した高性能モデル「GSX-R250SP」も登場し、SP-Fレース参戦を目指すライダーにも支持されました。各年式でカラーバリエーションも変更されており、当時の流行を反映したデザインが施されています。

GSX-R250R：更なる高性能を追求

GSX-R250をベースに、1989年2月2日に発売されたGSX-R250Rは、スポーツ走行に特化したモデルです。吸気効率の向上を目指し、キャブレターを2バレルから4連ダウンドラフトに変更。アルミ製ダイヤモンドフレームの採用や、ブレーキシステムの強化など、車体剛性の向上も図られました。

GSX-R250RにもSP仕様が設定され、クロスミッションやサスペンションの調整機構などを搭載。シングルシートカウルもオプションとして用意され、レース参戦を意識した装備が充実していました。

GSX250S COBRA：ネイキッドスタイルの選択肢

1989年9月発売のGSX250S COBRAは、GSX-R250Rをベースにネイキッドモデルとして登場しました。フルカウルを外したことで、より手軽にスポーティな走りを楽しめるモデルとして位置付けられていました。GSX-R250Rと同じエンジンを搭載しながらも、価格を抑えた設定となっていました。特徴的なセンターカウルは、GSX-Rシリーズとは異なる個性を演出しています。

レーサーレプリカブームとGSX-R250シリーズ

GSX-R250シリーズは、1980年代後半のレーサーレプリカブームの中で発売されました。しかし、250ccクラスでは2ストローク車の人気が高く、また、レーサーレプリカブームの終焉期に発売されたこともあって、フルモデルチェンジされることなく生産終了となりました。それでも、その高い性能と洗練されたデザインは、多くのライダーに支持されました。GSX-R250のエンジンは後にアクロスに、GSX-R250Rのエンジンはバンディット250やカタナ250などに転用され、スズキの様々な車種に貢献しました。

まとめ

GSX-R250シリーズは、スズキの歴史において重要な位置を占めるモデル群です。レーサーレプリカとしての高い性能、そして多様なバリエーションは、当時のバイクシーンを彩り、多くのライダーに忘れられない思い出を与えました。その技術は、後継モデルにも受け継がれ、スズキのバイク開発に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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