スズキ・GSX400インパルス

GSX400インパルスシリーズ：スズキ中型ネイキッドの系譜

スズキが製造販売していたオートバイ、GSX400インパルス。その歴史は、1982年の初代モデルGSX400FSインパルスから、2008年の最終モデルインパルス400まで、実に26年に及びます。本記事では、各モデルの特徴や販売状況、そしてネイキッドバイクとしてのGSX400インパルスの意義について詳細に解説します。

初代GSX400FSインパルス(1982年)：衝撃のデビュー

1982年に発売されたGSX400FSインパルスは、GSX400Fをベースに、ヨシムラとの共同開発による集合マフラーやシングルシート風のシート形状を採用するなど、特別な仕様で登場しました。49万3千円の販売価格は、ベース車種であるGSX400F、GSX400FIIよりも高価でしたが、最高出力48psと3psのパワーアップを実現したTSCC（Twin Swarl Combustion Chamber）燃焼室形状の採用と、スポーティな外観により高い注目を集めました。しかし、翌年には水冷エンジンを搭載したGSX400FWが登場したことで販売は終了。その短い販売期間にも関わらず、後続モデルへの大きな影響を与えた、スズキ中型バイクの歴史における重要なモデルとなりました。

2代目GSX400X/XS(1986年)：ハンス・ムートデザインの挑戦

1986年に登場した2代目GSX400X/XSは、GSX1100Sカタナのデザインを手掛けたハンス・ムートによるデザインが特徴です。ネイキッドモデル(GSX400X)とハーフカウルモデル(GSX400XS)の2種類がラインナップされ、特にネイキッドモデルは独特のフレームマウントのヘッドライトステーから「東京タワー」の愛称で親しまれました。59psの最高出力を誇るエンジンは、同時期発売のGSX-Rと同型で、独自開発のSATCS（Suzuki Advanced Three-way Cooling System）と呼ばれる3種類の冷却方式を組み合わせた冷却システムを搭載していました。しかし、販売は振るわず、2年で販売終了となりました。

3代目GSX400/R/S/ZS/T/ZT/X(1994年)：ネイキッドブームへの対応

90年代のネイキッドブームの中、1994年に発売された3代目GSX400インパルスは、GSX400S刀をベースに開発された正統派ネイキッドモデルとして登場しました。水冷4気筒エンジンを搭載し、最高出力53psを実現。1996年にはマイナーチェンジを行い、フレームや外装、キャブレターが変更されました。また、スズキ創立75周年記念モデルとしてTypeSなども登場しました。使い勝手の良さも追求されており、スズキ中排気量ネイキッドの定番モデルとして人気を獲得しました。1999年まで販売されました。

4代目インパルス400(2004年)：進化と終焉

2004年に登場した4代目インパルス400は、3代目を踏襲しながらも、エンジンや外装が変更されました。最高出力53psの水冷4気筒エンジンを搭載し、環境規制に対応するため、二次空気導入システムなどが採用されていました。2008年には初代GSX400FSインパルスのカラーリングを再現した「スペシャルエディション」が限定生産されましたが、同年、強化された自動車排出ガス規制により生産終了となりました。

まとめ：スズキ中型ネイキッドの歴史を彩った名車

GSX400インパルスは、初代モデルの衝撃的なデビューから、時代の変化に合わせて進化を遂げ、スズキの中型ネイキッドバイクとして確固たる地位を築きました。販売期間の長さ、そして各モデルの個性は、多くのライダーに愛された証でしょう。その歴史は、日本のバイク史において重要な一ページを刻んでいます。

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