スター (aikoの曲)

aikoのメジャーシングルとしては19作目となる『スター』は、2005年11月30日、ポニーキャニオンよりリリースされました。このシングルは、aikoにとって30代最初のシングルという節目の作品であり、数々の話題を生み出しました。

まず特筆すべきは、東宝配給映画『あらしのよるに』の主題歌に起用された点です。aikoが映画主題歌を担当するのは、2005年発表の『あした』以来実に7年ぶり。この起用は、aikoの音楽性と映画の世界観が見事に融合したことを示しており、多くのファンに感動を与えました。

『スター』は、aikoのキャリアにおいて大きな転換点となりました。この楽曲が、第56回NHK紅白歌合戦への出場へと繋がり、aikoは通算4度目の紅白歌合戦の舞台に立つことになります。紅白歌合戦出場という栄誉は、aikoの音楽が幅広い世代に支持されていることの証であり、『スター』が持つ普遍的な魅力を改めて示すこととなりました。

ミュージックビデオは、北海道の雄大な自然が広がる旭岳で撮影されました。壮大な景色とaikoの繊細な歌声が調和した映像は、楽曲の世界観をより一層深く表現しています。

カップリング曲には『蝶の羽飾り』が収録されています。この曲は、aikoが福岡市の都市高速荒津大橋から見た博多湾の風景をインスピレーションの源として作曲されました。福岡の街並みを背景にした情景が目に浮かぶような美しいメロディーと歌詞は、ご当地ソングとして福岡でのライブで頻繁に演奏され、地元の人々からも愛されています。

さらに、アルバム未収録の新曲『こんぺいとう』と、『スター』のインストゥルメンタルバージョンも収録されており、シングルとしては充実した内容となっています。全楽曲の作詞・作曲はaiko自身が行い、編曲は島田昌典が担当しています。

『スター』は、aikoの音楽的成熟と、新たな挑戦を象徴する作品です。映画主題歌、紅白歌合戦出場、そしてカップリング曲の魅力など、様々な側面から、aikoのアーティストとしての魅力を存分に見せています。

興味深いエピソードとして、乃木坂46の生田絵梨花さんが、乃木坂46 1期生オーディションの最終審査でこの『スター』を歌唱し合格を果たしたことが挙げられます。生田さんは、オーディションの2次審査で『カブトムシ』、4次審査でI WiSHの『明日への扉』を歌っており、『スター』を含めた3曲を思い出の曲として語っています。これは、『スター』が持つ力強さと、聴く者に感動を与える力を感じさせるエピソードと言えるでしょう。aikoの『スター』は、単なる楽曲にとどまらず、多くの人の人生に影響を与え、記憶に残る作品として、音楽史に刻まれるにふさわしい存在と言えるのではないでしょうか。

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