スチームボーイ

『スチームボーイ』

『スチームボーイ』（STEAMBOY）は、日本の著名な漫画家・アニメ監督の大友克洋によって作られたSFアニメ映画です。本作は2004年に公開され、大友が手がけた『AKIRA』や『MEMORIES』に続く作品であり、アニメ界における重要な位置を占めています。物語は19世紀のロンドンを舞台に、スチームパンクの世界観で展開される冒険劇です。

概要

『スチームボーイ』は、製作に9年を要し、総製作費は24億円にも達しました。デジタルと手描きの技術を組み合わせた精巧な画像表現が特徴で、総作画枚数は18万枚を記録しています。また、映画のタイトルは、手塚治虫の『鉄腕アトム』の米国版のタイトルを意識したオマージュともいえます。

この作品の計画は1994年に始まり、当初はOV作品の予定でしたが、さまざまな困難に直面した結果、デジタル制作の長編アニメ映画へと発展しました。制作はスタジオ4℃で進められ、最終的にはサンライズに移転されました。制作の過程で、さまざまな国のスタッフや大物映画監督たちとの共同作業が模索されましたが、実現には至りませんでした。

2004年7月に日本国内で公開された後、本作は多数の映画祭や海外でも上映され、2005年にはアカデミー賞の長編アニメ映画賞にノミネートされるなどの評価を受けました。ただし、日本での興行収入は11億6000万円に止まり、ファンからは『AKIRA』に匹敵する作品を期待されていたことも影響し、賛否が分かれる結果となりました。

あらすじ

物語は19世紀半ばのイギリス、産業革命の最中に進展している科学技術の世界から始まります。本作の主人公、レイは発明一家の子供で、祖父のロイドと父のエディがアメリカで新型蒸気機関の研究を行っている間に、彼独自の冒険が展開されます。ある日、レイのもとに祖父から不思議な金属の球体が送られ、彼の人生は大きく変わります。

その球体は「スチームボール」と呼ばれるもので、高圧の水蒸気を内包しているという新たな発明品でした。物語は、万博会場でのオハラ財団との出会いや様々な陰謀へと進展し、最終的には戦争の道具として使われる運命にあることを知ることになります。レイは奮闘し、父のエディや祖父ロイドの科学に対する思想に触れながら、スカーレットという強気な少女とも出会います。

オハラ財団はスチームボールを利用して新たな兵器を商談する中で、レイは次第に彼らの危険な計画を知ることになり、自らの信念を貫くために行動を起こします。物語はここから大きく動き出し、レイの勇気や友情が試される場面が展開されます。

登場人物

• - レイ・スチム：本作の主人公。発明に情熱を注ぐ13歳の少年。
• - スカーレット・オハラ・セントジョーンズ：高飛車な性格の14歳のお嬢様。
• - ロイド・スチム：レイの祖父であり、スチームボールの発明者。
• - エドワード・スチム：レイの父親で、新発明を戦争に利用しようとする。
• - ウッドコック元帥：イギリス海軍の指揮官。

スタッフ

本作は、大友克洋が原案・脚本・監督を務めており、プロダクションはサンライズが担当しています。また、音楽をスティーブ・ジャブロンスキーが手がけています。

関連メディア

また、本作は漫画作品としても展開され、映画の前日譚が語られています。さらに、PlayStation 2向けのゲームも登場し、レイを主人公にしたアクションゲームとして楽しむことができます。

『スチームボーイ』は、大友克洋の独創的な世界観と緻密な映像表現が融合した作品で、多くのファンに支持されています。

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