スティーヴン・キング 8つの悪夢

『スティーヴン・キング 8つの悪夢』（原題: Nightmares and Dreamscapes: From the Stories of Stephen King）は、現代ホラー界の巨匠、スティーヴン・キングの豊かな想像力から生まれた短編小説の世界を映像化した珠玉のアンソロジーテレビシリーズです。

このシリーズは、キングが手掛けた数々の短編作品の中から厳選された8編を基に制作され、それぞれのエピソードが独立した物語として展開します。キングの作品は、単なる恐怖にとどまらず、人間の内面に潜む闇、奇妙な日常、SF的な発想、不条理なユーモアなど、非常に幅広いテーマとジャンルを内包しています。本作では、そうしたキング文学の多様性が余すところなく表現されており、観る者は毎回異なる「悪夢と幻想」の世界へと誘われます。

物語の舞台は多岐にわたり、平凡な住宅街に潜む悪夢、異次元への扉が開く場所、テクノロジーがもたらす恐怖、あるいは純粋な超常現象など、キングが得意とする様々なシチュエーションが描かれます。

本シリーズの元となったのは、キングの短編集に収められている以下の8作品です。

『バトルグラウンド』(Battleground): 殺し屋に届いた奇妙な小包と、その中身が引き起こす戦慄の事態を描く。
『クラウチ・エンド』(Crouch End): 妻とロンドンを訪れた男が迷い込んだ、現実と異界が交錯する街の物語。
『アムニー最後の事件』(Umney's Last Case): 探偵小説の主人公が、自身の世界の創造主と対面するというメタフィクショナルな一篇。
『争いが終るとき』(The End of the Whole Mess): 世界の破滅を目撃することになる兄弟の悲しい運命を描くSF的な物語。
『ロード・ウイルスは北にむかう』(The Road Virus Heads North): 呪われた絵画に取り憑かれた男の逃亡劇。
『第五の男』(The Fifth Quarter): 裏切りによって全てを失った男が、ある地図を手に入れたことから始まる復讐と新たな人生。
『解剖室4』(Autopsy Room Four): 麻痺して動けない状態で解剖台に乗せられた男の意識下の恐怖を描写する。
『いかしたバンドのいる街で』(You Know They Got a Hell of a Band): 伝説的なロックミュージシャンたちが永遠に演奏し続ける、ある町に迷い込んだ夫婦の物語。

これらのエピソードは、原作の雰囲気を再現しつつ、映像作品ならではの演出が加えられています。原作ファンはもちろん、キング作品に初めて触れる人にも、その独特な世界観とストーリーテリングの妙を気軽に体験できるシリーズとなっています。

本シリーズは、米国ではケーブルテレビチャンネルTNTによって放送され、高い評価を得ました。日本では、2007年9月にWOWOWにて放送され、日本の視聴者にもキングの悪夢と幻想の世界が届けられました。

もう一度検索