ステイト・オブ・ザ・ネイション

ニューオーダーが1986年に発表した「ステイト・オブ・ザ・ネイション」は、バンドの代表曲の一つとして広く知られています。この曲は、単なるヒット曲という枠を超え、音楽史に大きな足跡を残した重要な楽曲と言えるでしょう。

その誕生秘話には、日本の存在が深く関わっています。1985年5月、ニューオーダーは来日公演を行い、その際に日本でファクトリー・レコードの販売を手がけていた日本コロムビアのスタジオでレコーディングを行いました。興味深いことに、当初は坂本龍一氏がプロデュースを担当する予定だったものの、諸事情により実現せず、結果的にセルフプロデュースという形になったというエピソードが残されています。この事実からも、この楽曲が持つ国際的な側面が伺えます。

「ステイト・オブ・ザ・ネイション」は、その後『サブスタンス』などのベストアルバムや『ブラザーフッド』の再発盤に収録され、幅広いリスナーに親しまれることとなりました。しかし、この曲の意義は、単に人気を博したという点だけではありません。この曲は、アシッドハウスの隆盛後に台頭してきたアンビエント・ハウスという新しい音楽ジャンルに多大な影響を与えたと評されており、その先駆けとして高く評価されています。この楽曲がアンビエント・ハウスという音楽シーンの形成に重要な役割を果たしたことは、音楽史における大きな功績と言えるでしょう。

商業的な成功も収めており、全英シングルチャートでは最高位30位を記録しています。これは、バンドの人気を示す一つの指標と言えるでしょう。ファクトリーレコードのカタログ番号はFAC 153です。

12インチシングルには、A面が「ステイト・オブ・ザ・ネイション」、B面が「シェイム・オブ・ザ・ネイション」が収録されています。演奏時間はそれぞれ6分32秒と7分54秒と、シングルとしては比較的長い尺であることも特徴です。「シェイム・オブ・ザ・ネイション」は、「ステイト・オブ・ザ・ネイション」とは異なるバージョンであり、楽曲のバリエーションの豊かさを感じさせます。これらの楽曲は、ニューオーダーの音楽的実験性と多様性を示す象徴と言えるでしょう。

このように「ステイト・オブ・ザ・ネイション」は、その制作背景、音楽史における位置づけ、商業的な成功、そして楽曲自体の魅力と多様性など、多くの要素が絡み合った、ニューオーダーを代表する重要な楽曲と言えるでしょう。1980年代の音楽シーンを語る上で欠かすことのできない一曲であり、今もなお多くのリスナーに愛され続けていることは、その普遍的な魅力を示していると言えるのではないでしょうか。その音楽性は、時代を超えて聴く者の心を捉え続ける、普遍的な魅力に満ち溢れているのです。

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