『ステート・フェア』(1945年版)
作品概要
映画『ステート・フェア』は、
1945年に
アメリカ合衆国で製作・公開された
ミュージカル映画です。これは、
1933年に公開された同名の作品『
あめりか祭』を基に、当時の最先端技術であった
テクニカラーを用いた色彩豊かな映像で新たに作り直された作品です。
本作が特に注目される点は、ブロードウェイミュージカル界の伝説的なコンビ、リチャード・ロジャースと
オスカー・ハマースタイン2世が、この
映画のためにオリジナル楽曲を手がけたことです。彼らが既存の舞台作品の
映画化ではない、純粋な
映画のための楽曲を提供したのは、キャリアを通じて本作が唯一の機会でした。監督はウォルター・ラングが務め、主演には当時のスター俳優である
ジーン・クレインと
ダナ・アンドリュースがキャスティングされました。この
1945年版は批評的・商業的に成功を収め、後に
1962年にも再び
映画化されることになります。
物語と音楽
(具体的な物語の詳細に関する記述は入力にないため、州祭を舞台にした家族のドラマであること、そして音楽が重要な要素であることに焦点を当てます)
『ステート・フェア』の魅力は、美しいメロディと心に響く歌詞を持つ楽曲群にあります。ロジャース&ハマースタインが生み出した楽曲は、作品に奥行きと感動を与えています。中でも特筆すべきは、「It Might as Well Be Spring(ばら色の人生)」です。この曲は、
映画公開後に単独で広く知られるようになり、アカデミー賞オリジナル歌曲賞を受賞しました。
ジーン・クレイン演じる主人公マージーの心情を歌ったこの曲は、時代を超えたスタンダードナンバーとして今なお世界中の人々に歌われています。
テクニカラーによる撮影は、当時の観客にとって視覚的に強いインパクトを与えました。州祭の活気ある雰囲気や、アイオワ州の美しい田園風景が鮮やかに映し出され、ミュージカルシーンを一層引き立て、観客を
映画の世界へと引き込みました。
主要キャストと製作スタッフ
本作には、当時のハリウッドを代表する俳優たちが顔を揃えました。主人公であるマージー・フレイク役を演じたのは、端正な容姿で人気を博した
ジーン・クレインです。彼女の相手役となるジャーナリスト、パット・ギルバート役には、後にフィルム・ノワールでも活躍する
ダナ・アンドリュースが配されました。
マージーの家族として、父親エイベルをチャールズ・ウィニンガーが、母親メリッサを
フェイ・ベインターが演じ、家族の温かい絆を描き出しました。また、マージーの兄ウェイン役には歌手としても知られるディック・ヘイムズが、彼の恋の相手となるエミリー・エドワーズ役にはヴィヴィアン・ブレインが出演し、物語に彩りを添えています。
製作面では、ウォルター・ラングが監督として全体をまとめ上げました。脚本は、楽曲を手がけた
オスカー・ハマースタイン2世を含む複数名が担当し、巧みなストーリー構成を目指しました。撮影監督の
レオン・シャムロイによる
テクニカラーの映像美は、本作の大きな見どころの一つです。音楽監督は
アルフレッド・ニューマンとチャールズ・ヘンダーソンが務め、ロジャースのメロディをオーケストレーションし、
映画音楽として完成させました。この他にも、美術、衣裳、編集など、各分野の優れたスタッフが集結し、作品の質を高めています。
受賞と評価
『ステート・フェア』は、その優れた芸術性が高く評価され、
第18回アカデミー賞において栄誉ある賞を受賞し、またノミネートもされました。
最も大きな成果は、リチャード・ロジャースと
オスカー・ハマースタイン2世による楽曲「It Might as Well Be Spring」がオリジナル歌曲賞を受賞したことです。これは、彼らにとって
映画音楽における重要な功績となりました。
また、
アルフレッド・ニューマンとチャールズ・ヘンダーソンは、その手腕が評価され、
ミュージカル映画音楽賞にノミネートされました。これは、単に個々の楽曲だけでなく、
映画全体の音楽的な構成やアレンジが高く評価されたことを示しています。
映画史における位置づけ
1945年版『ステート・フェア』は、
テクニカラー時代のハリウッド
ミュージカル映画を代表する一作として、
映画史にその名を刻んでいます。ロジャース&ハマースタインの楽曲の力、魅力的なキャスト、そして鮮やかな映像が融合し、公開から長い年月を経た現在でも多くのファンに愛されています。本作の成功は、
ミュージカル映画というジャンルの可能性を広げ、後の作品にも影響を与えたと言えるでしょう。
1962年の再
映画化は、この物語と音楽の普遍的な魅力の証でもあります。
心温まる人間ドラマと不朽の名曲が詰まった『ステート・フェア』は、古き良きハリウッド
映画の魅力が凝縮された傑作です。