ストップ!! ひばりくん!

『ストップ!! ひばりくん!』についての詳細

『ストップ!! ひばりくん!』は、漫画家江口寿史が手がけた作品で、1981年から1983年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載されました。長期の中断を経て、2009年には未完の状態から27年越しに完結を迎えました。さらに、1983年には東映によってアニメ化もされ、江口の代表作の一つとして知られています。

物語の概要

物語は、高校生・坂本耕作が母親の死後、大空組というヤクザの一家に引き取られるところから始まります。大空組の長男・大空ひばりは、見るからに美少女ですが、実は男なのです。この設定を中心に、耕作とひばりの関係はさまざまな出来事を通じて描かれます。

この役割の逆転は、当時のラブコメディの流行に対する江口のアンチテーゼとして機能しています。江口は、ヒロインを「女装した男の子」とすることで、ギャグ要素を持たせながら、ラブコメの常套手段を致し方ないものとして送り出しました。

連載の背景

江口は、本作を連載するにあたって、当時流行していたラブコメディーに飽き足らず、新しい風を吹き込みたいと考えていたため、このような独特のキャラクター設定が生まれました。最初はオカマキャラを前面に押し出したギャグ漫画として企画されていましたが、ひばりを可愛く描くことで、彼の魅力が逆に強まってしまうという意外な結果を招きました。その結果、物語は次第に可愛らしいひばりの行動が主軸となり、耕作は彼に振り回される日常を送ることになります。

連載終了の経緯

連載当初の人気があったものの、江口は原稿の締切に追われ、アシスタントも使えない状況となってしまいました。そのため、連載が休止することが多くなり、最終的には連載打ち切りが決定します。彼の逃げ出しや無茶な行動は、当時の編集部との軋轢をも引き起こし、物語は未完となる運命をたどります。

完結までの道のり

連載終了から長い年月が経ち、2009年に加筆修正された形で『ストップ!! ひばりくん! コンプリート・エディション』として再登場します。この最終巻には、長らく未収録だった最終話が加筆され、27年越しの完結を迎えました。とはいえ、これによって全体の物語が完結したわけではなく、物語の締めくくりとなる部分だけが補完された形になります。

作品の影響と評価

本作は多くの読者に影響を与え、特に「男の娘」文化の先駆けとされることが多いです。そのため、異性装やジェンダーに対する認識をより広める役割も果たしました。江口の細かな描写や独特のセンスは、多くの人々に魅了され、彼のスタイルが後の作品や作家に多大な影響を及ぼすこととなりました。

主な登場人物

• - 大空ひばり: 本作の主人公。美少女に見えるが実は男の子。耕作に積極的にアタックをかける。
• - 坂本耕作: 物語のもう一人の主人公。ひばりの影響を受けつつ、彼の正体に戸惑う。
• - 大空いばり: 大空組の組長であり、ひばりの父。彼の複雑な感情が描かれます。

本作は、ただのギャグ漫画を超えた試みがなされており、80年代のポップカルチャーに多大な影響を与えた作品です。この作品についての江口の視点や意図、また当時の社会的背景を感じ取りながら、楽しむことができるでしょう。

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