ストリートファイター (1975年の映画)

『ストリートファイター』(原題:Hard Times)は、1975年に公開されたウォルター・ヒルの監督デビュー作として知られるアメリカ映画です。本作は、ニューオリンズを舞台に、ベア・ナックル・ボクシングの世界で生き抜こうとする主人公チェイニーの物語を描いています。

貨物列車で街に流れ着いたチェイニーは、金と暴力の渦巻く地下ボクシングの世界に足を踏み入れます。そこでは、マネージャーが観客から賭け金を募り、勝ったファイターが全額を手に入れるという、過酷で危険な賭け試合が繰り広げられています。チェイニーは、敗北したファイターのマネージャーであるスピードと出会い、彼をパートナーとして、この世界で生き残るための戦いを始めます。

チェイニーは、卓越したボクシングの腕前で次々と勝利を重ね、賭け金を手にします。しかし、彼らの成功は、街の有力者であるチック・ギャンディルとその最強のファイター、ジム・ヘンリーの注意を引き、やがて抗争へと発展していきます。ギャンディルは、莫大な富と権力を背景に、チェイニーとスピードを様々な策略で追い詰めていきます。

スピードはギャンディルへの借金を抱えており、その返済のためにチェイニーは危険な賭け試合を強いられます。ペティボンという強敵との試合では、勝利したにもかかわらず、ペティボンは不正行為で掛け金を踏み倒そうとします。チェイニーたちは、ペティボンの店に乗り込み、強引に掛け金を奪い返します。

ギャンディルとの賭け試合が決まり、チェイニーはジムと死闘を繰り広げ、勝利を収めます。しかし、スピードは、自分の取り分をギャンブルで使い果たしてしまいます。ギャンディルはチェイニーに協力を持ちかけますが、チェイニーはそれを拒否します。

スピードはギャンディルへの借金返済ができず、借金取りに追われる身となります。追い詰められたスピードは、チェイニーに金を無心しますが、二人の間には亀裂が生じます。ギャンディルは、チェイニーにストリートファイターを差し向けて勝負を挑みますが、スピードとの確執からチェイニーはこれを拒否します。一方、スピードはギャンディルの手下に誘拐されてしまいます。

スピードの解放と借金の肩代わりを条件に、ギャンディルはチェイニーとの決着を望みます。ギャンディルのアジトで、チェイニーはストリートファイターと激しい死闘を繰り広げ、勝利をおさめます。ギャンディルはチェイニーの実力に圧倒され、敗北を認め、スピードは解放されます。

全てを終えたチェイニーは、スピードと別れ、新たな地へと旅立っていきます。この映画は、ウォルター・ヒルの独特のスタイリッシュな演出と、暴力と裏切りが渦巻く世界の中で、人間ドラマが展開する作品として高く評価されています。チェイニーの生き様、スピードとの複雑な関係、そしてギャンディルとの抗争は、観客に強い印象を与え、長く記憶に残る映画となっています。

もう一度検索