ストロンボリの海戦 (1676年)

ストロンボリの海戦：仏蘭戦争における決着なき戦い

ストロンボリの海戦は、1676年1月8日、仏蘭戦争中にティレニア海のエオリア諸島、特にアリクーディ島沖で発生しました。この海戦は、フランス艦隊とオランダ艦隊の間で繰り広げられましたが、決定的な勝敗はつかず、両軍が勝利を宣言する結果となりました。この戦いは、しばしば第二次ストロンボリの海戦、アリクーディの海戦、またはミラッツォの海戦とも呼ばれます。

背景

当時のヨーロッパは、フランスとスペインの間で政治的な緊張が高まっていました。スペイン領であったメッシーナで反乱が発生し、フランス王ルイ14世に支援を求めたことが、この海戦の直接的な引き金となりました。ルイ14世はこれに応じ、フランス艦隊を派遣してメッシーナを支援しました。しかし、オランダはスペインを支援する立場を取り、ミヒール・デ・ロイテル提督率いる艦隊を地中海に派遣しました。

オランダのウィレム3世はロイテルに対し、スペイン艦隊との合流を目指し、メッシーナをスペイン王の支配下に戻すよう指示しました。しかし、オランダ国内ではこの戦役への関心が薄く、オランダ艦隊の装備は十分ではありませんでした。ロイテル自身もウィレム3世の政敵であり、この任務の困難さを認識していました。

戦闘の経過

1676年1月8日の朝、フランス艦隊とオランダ艦隊はシチリア島北海岸沖で遭遇しました。風は弱く、両艦隊は南西のパレルモに向けて戦列を形成しました。フランス艦隊が風上に位置していたため、攻撃のタイミングを有利に選ぶことができました。

午前9時、フランス艦隊が攻撃を開始し、両艦隊は激しい砲撃戦を繰り広げました。砲撃により、いくつかの艦船が損傷を受けましたが、両艦隊とも戦列を維持しました。フランス艦隊は火船を使用しましたが、効果は限定的でした。夜になると、スペインのガレー船がフランスのル・セプトールに攻撃を仕掛けましたが、トゥールヴィル伯爵の反撃により退却しました。その後、オランダ艦隊はフランス艦隊に見守られながら、北東のストロンボリ島に向けて撤退しました。

戦いの影響

ストロンボリの海戦は、戦術的には決着がつかず、戦略的な成果もほとんどありませんでした。両軍は互いに勝利を主張しましたが、紛争の解決には至りませんでした。この海戦の後、アウグスタの海戦やパレルモの海戦など、さらなる海戦が繰り広げられました。ストロンボリの海戦は、仏蘭戦争における一連の海戦の一部であり、その後の戦局に影響を与えることとなりました。

この海戦は、当時のヨーロッパの政治的、軍事的状況を反映しており、フランスとオランダの間の緊張関係を示すものでもあります。また、海戦における戦術や技術の限界も浮き彫りにしました。ストロンボリの海戦は、歴史的な観点からも興味深い出来事と言えるでしょう。

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