ストローブ・タルボット

ストローブ・タルボット

ストローブ・タルボット（Nelson Strobridge "Strobe" Talbott III、1946年4月25日生まれ）は、アメリカ合衆国の著名な外交評論家であり、ジャーナリストです。現在は、ワシントンD.C.に拠点を置く有力シンクタンク、ブルッキングス研究所の所長として、アメリカの政策決定に大きな影響を与えています。

生い立ちと学歴

タルボットはオハイオ州デイトンで生まれ、名門イェール大学を卒業しました。その後、 Rhodes 奨学生としてイギリスのオックスフォード大学に留学し、研究生活を送りました。このオックスフォード大学での留学中に、後のアメリカ大統領となるビル・クリントンと親交を深めたことは、彼のキャリアにおいて重要な出来事でした。

ジャーナリストとしての活躍

1980年代、タルボットはアメリカのニュース雑誌『タイム』誌の記者として、米ソ間の軍備管理・軍縮問題を取材しました。冷戦時代における核兵器を巡る両超大国の駆け引きを詳細に報道し、その分野の専門家としての地位を確立しました。

国務副長官として

1994年から2001年まで、タルボットは国務副長官としてクリントン政権で外交政策の中枢を担いました。特に、対ロシア政策やNATO（北大西洋条約機構）の東方拡大といった、冷戦後の国際秩序を形成する上で重要な問題に関与しました。ロシアとの関係においては、戦略的パートナーシップの構築を目指しつつも、NATOの拡大を通じて東ヨーロッパ諸国の安全保障を強化するという、複雑な舵取りを行いました。

受章

2016年春には、日本政府より旭日大綬章を授与されました。これは、日米関係の発展に寄与した彼の長年の功績を称えたものです。

著書

タルボットは、数多くの著作を通じて、その知見を広く社会に共有しています。

単著

Endgame: the Inside Story of SALT II (1979)
The Russians and Reagan (1984)
Deadly Gambits: the Reagan Administration and the Stalemate in Nuclear Arms Control (1984)
The Master of the Game: Paul Nitze and the Nuclear Peace (1988)
The Russia Hand: A Memoir of Presidential Diplomacy (2002)
Engaging India: Diplomacy, Democracy, and the Bomb (2004, revised ed., 2006)
The Great Experiment: the Story of Ancient Empires, Modern States, and the Quest for a Global Nation (2008)

共著

Reagan and Gorbachev, with Michael Mandelbaum (1987)
At the Highest Levels: the Inside Story of the End of the Cold War, with Michael R. Beschloss (1993)
Engaging with Russia: the Next Phase, with Roderic Lyne and Koji Watanabe (2006)

共編著

* The Age of Terror: America and the World after September 11, co-edited with Nayan Chanda (2001)

これらの著作は、冷戦史、アメリカ外交、軍備管理、国際関係論など、多岐にわたる分野における重要な文献として評価されています。

ストローブ・タルボットは、ジャーナリスト、政策担当者、研究者として、アメリカの外交政策に多大な貢献をしてきた人物です。彼の経験と知識は、現代の国際政治を理解する上で貴重な視点を提供しています。

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