ストーリー漫画

ストーリー漫画とは

ストーリー漫画は、日本の漫画におけるジャンルの一つです。明確な定義は存在せず、時代や文脈によって様々な意味合いで使用されてきました。一般的には、複数ページにわたるまとまった物語を描き、コマの配置やストーリー展開が自由な漫画を指します。ギャグ漫画とは対照的に、シリアスなテーマやドラマチックな展開を持つ作品が多いのも特徴です。

ストーリー漫画の起源

「ストーリー漫画」という言葉がいつ頃から使われ始めたのかは定かではありません。しかし、漫画家の手塚治虫が自身の作品を指して「長編マンガ」と呼んでいた頃、マスコミが手塚の漫画を「ストーリー漫画」と表現し始めたのがきっかけであると言われています。手塚治虫は、従来の漫画にあったギャグ要素を排除し、ドラマ性を重視した作品を多く発表しました。そのため、手塚治虫は「ストーリー漫画の開祖」と呼ばれることがあります。

ただし、手塚治虫以前にもストーリー性のある漫画は存在していました。手塚治虫自身も、自身の作品を「ストーリー漫画」の元祖とすることには否定的でした。手塚治虫が目指したのは、単に物語を追うだけでなく、哲学的な深みや文学的な広がりを持たせ、悲劇性やカタストロフィーも許容するような、より深みのある漫画でした。

劇画との関係

手塚治虫の「ストーリー漫画」から影響を受け、さらにドラマ性を強調したのが劇画です。劇画は、よりリアルな描写やハードなストーリー展開を特徴とし、従来の漫画とは一線を画しました。当初、手塚治虫は劇画の登場を好意的に受け止め、貸本雑誌に連載を持つなど、劇画の作家たちと交流しました。しかし、劇画の隆盛は、後に手塚治虫がスランプに陥る一因になったとも言われています。

手塚治虫とストーリー漫画

手塚治虫は、ストーリー漫画の確立に大きく貢献した人物であることは間違いありません。手塚治虫は、映画的な表現手法を漫画に取り入れ、コマ割りやストーリー展開に新たな可能性を開きました。また、手塚治虫は、児童漫画の枠を超え、より幅広いテーマや表現を追求しました。手塚治虫の功績は、その後の日本の漫画界に大きな影響を与え、現在に至るまで多くの漫画家に受け継がれています。

ヨーロッパでは、エルジェの『タンタンの冒険』や、トーベ・ヤンソンの『ムーミン』など、手塚治虫よりも前にストーリー漫画と呼べる作品が発表されています。

まとめ

ストーリー漫画は、日本の漫画史において重要な位置を占めるジャンルです。手塚治虫の登場によって大きく発展し、劇画の誕生にも影響を与えました。現在では、様々なジャンルの漫画が存在しますが、その根底にはストーリー漫画の精神が息づいていると言えるでしょう。

もう一度検索