ストーンウォール (団体)

ストーンウォール：イギリスLGBT権利運動の中核

ストーンウォール（Stonewall Equality Limited）は、イギリスにおける性的少数者（LGBT）の権利擁護において中心的な役割を果たす慈善団体です。ヨーロッパ最大のLGBT権利団体として広く認識されており、その活動はイギリス社会に大きな影響を与えています。

設立の背景：セクション28への抵抗

ストーンウォールの設立は、1988年に制定された「セクション28」（1988年地方自治法の一部）への反発から始まりました。この法律は、自治体や学校による「同性愛を助長する行為」を禁じるもので、LGBTの人々に対する差別と偏見を助長するとして、強い批判を浴びました。

著名な俳優であるイアン・マッケラン氏、リサ・パワー氏、マイケル・キャッシュマン氏ら、多くの著名人がこの法律に反対し、1989年、セクション28に対抗する組織としてストーンウォールが設立されました。当初は小さな活動団体でしたが、セクション28廃止に向けた運動の中核となり、徐々に影響力を拡大していきました。

ストーンウォールの反乱からの命名

団体の名称である「ストーンウォール」は、1969年6月28日にアメリカ合衆国ニューヨーク市で発生したストーンウォールの反乱に由来しています。同性愛者の集まるゲイバー「ストーンウォール・イン」への警察の強制捜査がきっかけとなり、LGBTQ当事者たちが警察に抵抗する暴動へと発展したこの出来事は、LGBT権利運動における重要な転換点とされています。ストーンウォールは、この歴史的な抵抗運動の精神を受け継ぎ、団体の名称として採用しました。

労働党政権下での活動拡大

1997年、イギリスで労働党が政権を獲得すると、ストーンウォールは活動の幅を大きく広げました。セクション28廃止に向けた運動に加え、LGBTの人々に対する差別撤廃、法的保護の強化、社会における理解促進など、多岐にわたる活動を行うようになりました。政策提言、啓発キャンペーン、法的支援など、多様なアプローチを通じて、LGBTの人々の権利擁護と社会参加促進に貢献しています。

継続的な活動と課題

セクション28廃止後も、ストーンウォールはLGBT権利擁護のため、精力的に活動を続けています。性的指向や性自認に基づく差別や偏見はいまだに存在し、解決すべき課題は多く残されています。ストーンウォールは、法整備、社会意識改革、そして個々のLGBTの人々への支援を通じて、より平等で包摂的な社会の実現を目指し、活動を継続しています。

まとめ

ストーンウォールは、イギリスにおけるLGBT権利運動を象徴する存在です。セクション28反対運動から始まり、現在も精力的に活動を行い、イギリス社会におけるLGBTの権利向上に大きな貢献を果たしています。その活動は、法律改正や社会意識の変化に影響を与え続け、未来へ向けた重要な役割を担い続けています。

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