スバル・B11S

スバル・B11Sの詳細

スバル・B11Sは、富士重工業が開発した未来的なコンセプトカーで、2003年のジュネーヴ・モーターショーでその姿が披露されました。このモデルの名前にはいくつかの意味が込められており、「B」はスバル独自の水平対向（ボクサー）エンジンを示し、「11」はプレミアムクラス、「S」はスポーティな性格を示します。

設計の背景

B11Sのデザインは、初代レガシィを生み出した杉本清が率いるチームによって推進され、当時富士重工業の社長に就任したばかりの田中毅も参加しました。当初、社内でデザインが行われましたが、その後Fuore Design Internationalのエルヴィン・レオ・ヒンメル率いるデザインチームにも手が加えられました。特に航空機からインスパイアされたスプレッドウィングスグリルなど、いくつかの設計スタディが生み出されたのが特徴です。富士重工業のチーフデザイナーであるアンドレアス・ザパティナスは、このモデルが将来的なスバルのデザインシグネチャーを象徴するものであるとコメントしています。しかしながら、ザパティナス自身はこのプロジェクトが始まる前にアルファロメオから移籍してきたこともあり、直接的な関与は無かったとされています。

技術的特徴

B11Sには、3.0リッターの水平対向6気筒ツインターボエンジンが搭載されており、最高出力394psを6,400rpmで発生させ、最大トルクは550N·mで3,600rpmから4,800rpmの範囲で得られます。このパワフルなエンジンは、6速オートマチックトランスミッションを介して、可変トルク配分装置「VTD-AWD」で4輪を駆動します。通常走行時には、前輪に35%、後輪に65%という配分が設定されています。

これらの技術により、B11Sはスポーティーな走行性能と共に優れた安定性も実現。デザインと技術が融合したこのコンセプトカーは、スバルの未来の姿を映し出すものであり、その影響は生産モデルにも受け継がれています。また、B11Sはスバルが掲げる「革新、勇気、個性」の精神を体現しており、同社のブランドイメージを強化する役割を果たしています。

こうした背景を持つスバル・B11Sは、単なるモデルではなく、自動車デザインの未来を示す重要なプロトタイプであり、モーターショーの場で多くの注目を集めました。この車両は、スバルの技術革新とデザインの進化を象徴する作品として位置付けられ、今後の自動車業界でも再評価されることでしょう。

もう一度検索