スバル・ff-1

スバルff-1（スバル エフエフワン）

スバルff-1は、富士重工業（現・SUBARU）が1969年に発売した乗用車であり、同社の初の本格的な小型車として位置付けられています。ff-1は、先に登場したスバル・1000のマイナーチェンジ版として設計されました。特に、マイカーが普及していく中で、トヨタ・カローラや日産・サニーといった競合モデルと同じ小型車市場に進出したことは、大きな意義を持っていました。

このモデルは発売以来評価を受け、1970年には月販4,000台を超えるなど、一定のシェアを確保しました。しかし、その後の市場ニーズに応じた豪華さやパワーを求める声に応えることが難しく、結果的に短命なモデルとなりました。1970年には、さらなるマイナーチェンジを経てff-1 1300Gシリーズに移行し、歴史の中での位置づけを変えることとなりました。それでもアメリカ向けに1万台以上が輸出されたことで、同社の小型車としての市場参入は注目されました。

初代 A14/15型（1969年-1970年）

1969年3月に発売されたスバルff-1シリーズは、発売当初からスポーツセダンとしても人気を博しました。特にこのモデルは同年の「箱根ターンパイク・ヒルクライム大会」で総合2位を獲得したことが印象的な出来事の一つです。また、1970年2月には「70RCCウィンターラリー」においてもクラス優勝を果たしています。

加えて、ff-1シリーズは標準モデルで「EA61」エンジンを搭載し、スポーツモデルやスーパーツーリングモデルにはツインキャブ版の「EA61S」が搭載されていました。このエンジンはスバル・1000の「EA52」をベースに構築され、高い性能を求めて微細な改良が施されています。

シャシーとサスペンション

スバルff-1はスバル・1000と同様のシャシーとサスペンションを採用しました。特に、ブレーキシステムは2系統が用意され、スポーツモデルではより高いパフォーマンスを発揮できるように設計されています。これによって、走行性能が向上し、ドライバーに安定した操作感を提供しています。

エクステリアデザイン

ff-1のエクステリアデザインは、基本的にはスバル・1000と共通していますが、変更点もあります。特にフロントグリルは台形モチーフのプラスティック一体成型に変更され、デザイン面での印象を強化しています。これは後にスバルのアイデンティティの一部として引き継がれ、1993年のBD/BG型レガシィにも採用されました。標準モデルには「ff-1」エンブレムがボンネット先端に配置され、デラックス仕様以上にはリヤガーニッシュやトランクオーナメントが装備されています。

インテリアの特徴

内装については、スバル・1000と基本的な作りを共通としつつも、改良が施されています。例えば、ダッシュボードの中央には新たにベンチレーションやラジオなどの機能を集約したナセルが設置されました。また、標準车型のステアリングホイールはクラッシュパッド一体型の樹脂製に変更され、より配慮された設計がなされています。さらに、スポーツモデルやスーパーツーリングモデルには木目調のデザインが施されたパーツが使われており、より高級感を演出しています。

スバルff-1の生産は約1年と短命でしたが、小型車市場においては重要なモデルとして記憶されており、特にアメリカ市場における成功は、富士重工業の未来への道を開くものとなりました。

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