スパースファイル

スパースファイルとは

計算機科学におけるスパースファイルとは、ファイルの一部が空である場合に、その空の部分を実際にディスクに書き込まず、メタデータとして記録することで、ディスク容量を効率的に利用するファイル形式です。

スパースファイルの仕組み

スパースファイルに対応したファイルシステムでは、ファイルにデータを書き込む際に、空のブロックをすべて実際にディスクに書き込むのではなく、空であるというメタデータのみを書き込みます。データが書き込まれたブロックだけが実際にディスクに保存されるため、ディスク容量を大幅に節約できます。

ファイルの読み出し時には、ファイルシステムがメタデータに基づいて、空のブロックをNULLバイトで埋められたブロックとして復元します。この処理は透過的に行われるため、ユーザーはスパースファイルであることを意識せずに利用できます。

スパースファイルの利点

スパースファイルの最大の利点は、実際に使用する容量のみがディスクに書き込まれるため、ディスク容量を大幅に節約できることです。例えば、仮想マシンのイメージファイルのように、大部分が空のファイルの場合、スパースファイルを使用することで、必要なディスク容量を大幅に削減できます。

また、空の領域への書き込みをスキップできるため、書き込み時間の短縮にもつながります。容量確保時にNULLバイトを書き込む必要がないシステムでは、ファイル書き込みと合わせて二重のスキップ効果が得られます。

スパースファイルの欠点

スパースファイルの欠点として、ファイルが断片化しやすいという点があげられます。また、ファイルシステム上の空き領域の情報が実際とは異なるため、スパースファイルの空き領域に上書きが発生した場合、ディスク容量不足やクォータ超過などの予期しないエラーが発生する可能性があります。

スパースファイルの利用例

スパースファイルは、以下のような用途で広く利用されています。

ディスクイメージの保存
データベースのスナップショット
ログファイルの保存
科学技術計算分野

スパースファイルのサポート状況

多くのファイルシステムがスパースファイルをサポートしており、代表的なものとしてNTFSやUnix系のファイルシステムがあります。Apple社のHFS+はスパースファイルをサポートしていませんでしたが、macOSでは仮想ファイルシステムによって、HFS+などのファイルシステム上でもスパースファイルを利用できるようになりました。また、Apple File System(APFS)もスパースファイルをサポートしています。

Unix環境におけるスパースファイル

Unix環境では、スパースファイルは基本的に透過的に処理されますが、通常のファイルと異なる点がいくつかあります。

スパースファイルの作成方法

Windows環境では、`fsutil`コマンドを使用してスパースファイルを作成できます。Unix環境では、`mkfile`コマンドなどを使用して作成できます。

まとめ

スパースファイルは、ディスク容量を節約し、書き込み時間を短縮するための有効な技術です。ただし、断片化しやすいという欠点もあるため、利用する際には注意が必要です。スパースファイルは、ディスクイメージやデータベースのスナップショットなど、様々な場面で活用されています。

外部リンク

fsutilを使用してWindows Serverでスパースファイルを作成する
mkfile（1M）を使用してSolarisでスパースファイルを作成する
* ArchLinux Wiki：スパースファイル

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