スピンボタン

スピンボタンは、グラフィカルユーザーインターフェース（GUI）において、数値入力の補助を目的としたウィジェットの一種です。主に、テキストボックス（テキストフィールド）の隣に配置され、三角形のマーク（▲/▼）が付いた小さなボタンとして表示されます。これは、数値の増減を直感的に操作するためのもので、テレビのリモコンにおけるチャンネル送りボタンや音量調整ボタンに似た役割を果たします。スピンボタンが組み込まれたテキストボックスは、一般的にスピンボックスと呼ばれます。

一部のウィジェットツールキットでは、スピンエディットという名称で同様の機能を持つコントロールが提供されています。例えば、.NET FrameworkのWindows Forms環境では、NumericUpDownコントロールがこれに相当します。

テキストボックスは、本来、数値だけでなく任意の文字列を入力できる柔軟性を持っています。しかし、その自由度の高さゆえに、数値のわずかな増減といった単純な操作が煩雑になることがあります。例えば、「19」から「20」のように、1だけ数値を増やす場合でも、二桁の数字を書き換える必要があります。また、数字以外の文字を誤って入力してしまう可能性も考慮しなければなりません。

これらの問題を解決するために、スピンボタンは操作を数値の増減に特化させた補助機構として機能します。一般的に、少量の増減を行う際には、スピンボタンを使用する方が効率的です。また、最大値や最小値に達した場合にループするような設定も可能であり、入力範囲を限定する上でも有効です。スピンボタンを持つテキストボックスにフォーカスがある状態では、キーボードの上下矢印キー（↑/↓）でも数値の増減が可能です。キーを押し続けることで、キーリピート機能により数値を高速に増減させることもできます。

Adobe Photoshopのようなアプリケーションでは、RGBカラー値などの数値入力に特化したテキストボックスにおいて、スピンボタンそのものは表示されませんが、スピンエディットと同様にキーボードの上下矢印キーによる数値の増減が可能です。

一方で、タッチスクリーンを搭載したスマートフォンやタブレット端末など、タッチインターフェースが主流の環境では、小さなスピンボタンの操作は困難です。そのため、プラス（＋）やマイナス（－）のアイコンが付いた大きなボタンや、スロットのリールのような数値ピッカーが代替として用いられます。iOSではバージョン5.0以降でUIStepperが標準化されており、Androidではバージョン3.0（APIレベル11）以降でNumberPickerが標準化されています。

スピンボタンは、数値入力を効率化するための重要なGUI要素であり、様々なプラットフォームやアプリケーションで広く利用されています。その操作性と柔軟性により、ユーザーは直感的かつ正確に数値を入力することができます。

関連要素

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