スペイン国立統計局

スペイン国立統計局（Instituto Nacional de Estadística、INE）は、スペインの国家行政における統計サービスを担う、重要な自治機関です。その主な役割は、人口動態、経済状況、社会に関する統計データの収集と分析です。INEは、これらの情報を公式ウェブサイトを通じて公開しており、様々な分野における統計データを提供しています。

INEの歴史

INEの起源は、19世紀中頃に設立されたスペイン王国統計委員会（Comisión de Estadística del Reino）にまで遡ります。1856年11月3日、当時の政府首班であったナルバエス将軍（General Narváez）が、才能ある人材を集めて王国の統計情報を扱う機関を組織する法令に署名し、同委員会が設立されました。この委員会は、1857年4月21日に統計評議会（Junta de Estadística）と改称され、最初の事業として国勢調査を実施しました。

その後、1870年9月12日のセラーノ将軍（general Serrano）による暫定政権下の法令により、地理学研究所（Instituto Geográfico）が創設されました。3年後の1873年9月12日には、地理統計局（Instituto Geográfico y Estadístico）と名称が変更され、国家のための数値情報の収集が業務に加えられました。1890年には、統計情報は勧業省の管轄下に移されました。

20世紀に入ると、1901年10月1日の法令によって、公式統計情報の作成と公表が制度化されました。これに伴い、地理統計局は組織改編を経てDirección Generalとなり、業務を円滑に進めるために各省内に担当部局が設置されました。1921年には、統計業務協議会（Consejo del Servicio Estadístico）が設立され、1924年には再編成が行われました。その後、1928年には労働計画省（Ministerio de Trabajo y Previsión）に、1931年には首相府省（Ministerio de Presidencia）に所属が変更されました。

INEの業務内容

INEは、人口、経済、社会に関する広範な統計データを収集、分析、公表しています。具体的には、以下のような業務を行っています。

人口動態統計: 出生、死亡、結婚、離婚などの人口変動に関する統計データを収集・分析し、人口構造の変化を把握します。
経済統計: 国内総生産（GDP）、物価指数、雇用統計、貿易統計などの経済指標を収集・分析し、経済状況を把握します。
社会統計: 教育、健康、住宅、生活水準など、社会生活に関する統計データを収集・分析し、社会状況を把握します。
その他の統計: 農業、工業、運輸、観光など、様々な分野における統計データを収集・分析します。

INEは、これらの統計データを政府機関や研究機関、民間企業、一般市民に提供しており、政策立案や経済活動、社会分析などに役立てられています。

まとめ

スペイン国立統計局（INE）は、スペインにおける公式統計の中心的な役割を担う機関であり、その歴史は19世紀にまで遡ります。INEは、広範な分野における統計データを収集・分析・公表することで、スペインの経済・社会の発展に貢献しています。統計データは、正確で信頼性が高く、様々な分野での意思決定の根拠として活用されています。

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