スペイン銀行

スペイン銀行（Banco de España）

スペイン銀行は、スペインの中央銀行であり、欧州中央銀行制度（ESCB）の一員としてユーロ圏の金融政策を担っています。1782年に設立されたサン・カルロス国立銀行を起源とし、幾多の変遷を経て現在の形となりました。

沿革

スペイン銀行の歴史は、1782年にカルロス3世によって設立されたサン・カルロス国立銀行（Banco Nacional de San Carlos）に遡ります。初代頭取には、フランソワ・カバリュス（スペイン語名：フランシスコ・カバルス）が任命されました。

度重なる戦乱により経営難に陥ったサン・カルロス国立銀行は、1829年にサン・フェルナンド・スペイン銀行（Banco Español de San Fernando）に改称。その後、イサベル2世銀行やバルセロナ銀行といった競合銀行の設立、合併などを経て、1856年に現在のスペイン銀行という名称になりました。

1874年には、スペイン政府から紙幣発行の独占権を与えられ、中央銀行としての地位を確立しました。フランコ独裁政権下では国有化されましたが、民主化以降は変革と近代化が進められ、1994年には欧州連合の経済通貨統合に加わり、欧州中央銀行制度の一員となりました。

運営組織

スペイン銀行は、以下の4つの運営機関によって運営されています。

総裁 (Gobernador):
スペイン銀行の長であり、理事会と政策委員会の議長を務めます。首相が指名し、国王が任命します。
副総裁 (Subgobernador):
総裁を補佐し、総裁不在時にはその職務を代行します。総裁の推薦に基づいて政府が指名します。
理事会 (Consejo de Gobierno):
スペイン銀行の主要な意思決定機関です。総裁、副総裁、参事官、経済財務省の代表者などで構成されます。
政策委員会 (Comisión Ejecutiva):
理事会から委任された事項について決定を行う機関です。総裁、副総裁、参事官で構成されます。

任務

スペイン銀行は、欧州中央銀行制度の一員として、以下の任務を担っています。

ユーロ圏全体の物価の安定維持：
金融政策を通じて、ユーロ圏全体のインフレ率を目標水準に維持します。
為替相場への介入：
必要に応じて、為替相場に介入し、通貨の安定を図ります。
外貨準備の管理・運用：
外貨準備を管理・運用し、対外的な支払いを円滑に行えるようにします。
決済システムの健全な運営の促進：
ユーロ圏における決済システムが安全かつ効率的に機能するように促進します。
紙幣の発行：
ユーロ紙幣を発行します。
金融システムの監督：
金融機関の経営状況を監督し、金融システムの安定を維持します。
統計の作成・公表：
経済・金融に関する統計を作成・公表し、政策決定や経済分析に役立てます。
国債の管理：
国債の発行・償還を管理します。
政府への助言：
経済・金融政策について政府に助言を行います。

スペイン経済における役割

スペイン銀行は、スペイン経済の安定と成長に貢献するために、上記の任務を遂行しています。金融政策を通じてインフレを抑制し、金融システムの安定を維持することで、持続可能な経済成長を支えています。

参考文献

Miguel Martorell, Historia de la peseta: la Espana contemporanea a traves de su moneda. Editorial Planeta S.A., ISBN 8408040871
Pedro Navascues Palacio, Summa Artis, Historia general del arte, Arquitectura espanola (1808-1914), tomo XXXV. Editorial Espasa Calpe.

外部リンク

スペイン銀行 （スペイン語）（英語）

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