スペシャルズ! 〜政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話〜

映画『スペシャルズ! 〜政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話〜』解説

『スペシャルズ! 〜政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話〜』（原題: Hors normes）は、2019年に公開されたフランスのコメディドラマ映画です。オリヴィエ・ナカシュとエリック・トレダノが監督・脚本を手掛け、ヴァンサン・カッセルとレダ・カテブが主演を務めています。

あらすじ

本作は、自閉症を抱える子供たちのケアに情熱を注ぐ2人の男、ブリュノとマリクの物語です。ブリュノは自閉症児を支援する団体「正義の声」を運営しており、マリクは社会からドロップアウトした若者たちの社会復帰を支援する団体「寄港」を運営しています。彼らは、無認可施設であることや赤字経営といった問題を抱えながらも、それぞれの立場で子供たちのために奔走します。

ジョゼフは、自閉症の青年で、衝動的に非常ボタンを押したがります。ヴァランタンは重度の自閉症を抱え、自傷行為を防ぐためにヘッドギアを着けて生活しています。ブリュノとマリクは、彼らのような子供たちに寄り添い、社会の中で生きていくためのサポートを続けます。

そんな中、彼らの活動は社会問題監督局（IGAS）の調査を受けることになります。施設の運営体制や子供たちへのケア方法など、様々な問題点が指摘され、閉鎖の危機に瀕します。ブリュノとマリクは、自分たちの信念を貫き、子供たちの未来を守るために、あらゆる困難に立ち向かっていきます。

キャスト

ブリュノ: ヴァンサン・カッセル（自閉症児をケアする団体「正義の声」運営）
マリク: レダ・カテブ（ドロップアウトした若者を社会復帰させる団体「寄港」運営）
ジョゼフ: バンジャマン・ルシュール（自閉症の青年）
ヴァランタン: マルコ・ロカテッリ（重度の自閉症の少年）

製作の背景

本作は、監督のトレダノとナカシュが1994年に出会ったステファン・ベナム（ブリュノのモデル）との出会いがきっかけで制作されました。彼らは、ベナムとダーウド・タトウ（マリクのモデル）が取締役を務める団体についてのドキュメンタリーを制作した経験もあります。

出演者には、自閉症の子供たちや演技経験のない人々が起用されています。ジョゼフ役のバンジャマン・ルシュールは、監督たちが自閉症などの問題を抱える人々を雇用しているアートグループに映画のワークショップを依頼した際に出会いました。ヴァランタン役のマルコ・ロカテッリは、自閉症の弟を持つことが出演の動機になったと語っています。

作品の評価

本作は、フランス国内外で高い評価を受けています。アロシネによれば、フランスのメディアによる評価の平均点は5点満点中3.9点です。Rotten Tomatoesでは、11件の評論のうち82%が高評価を与えています。

映画批評家からは、「心と現実の両方から生まれた稀有な映画」「社会派テーマをエンタメ的作劇で共感させるテクをフル稼働」といった評価が寄せられています。また、主演のヴァンサン・カッセルの演技も高く評価されています。

テーマ

本作は、自閉症をテーマにしながらも、社会における寛容さや他者との違いを受け入れることの重要性を訴えかけています。ブリュノとマリクの奮闘を通して、観客は、障害を持つ人々が社会の中で生きていくことの難しさや、彼らを支える人々の献身的な努力を知ることができます。

また、本作は、既存の枠にとらわれず、規格外（Hors normes）の方法で子供たちを支援することの意義も示唆しています。彼らの活動は、社会のシステムや制度に疑問を投げかけ、より柔軟で多様な社会のあり方を模索するきっかけとなるでしょう。

まとめ

『スペシャルズ! 〜政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話〜』は、感動とユーモアに満ちた、心温まる作品です。自閉症について深く考えさせられるだけでなく、私たち自身の生き方や社会のあり方を見つめ直すきっかけを与えてくれます。ぜひ、劇場でご覧ください。

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