スペースシャトル

スペースシャトル（Space Shuttle）

スペースシャトルはアメリカ航空宇宙局（NASA）が1981年から2011年にかけて使用した再利用可能な有人宇宙船である。135回の打ち上げを経て退役したこの宇宙船は、当初から「再使用」に重点を置いて開発されたが、実際には宇宙船の一部は使い捨てであり、外部燃料タンクは毎回投棄されていた。これにより、他部分の再利用が可能なものと比較してコストや効率に影響を及ぼし、様々な課題も抱えた。

概要

初飛行は1981年、そして2011年7月に行われた最終飛行と合わせて、累計135回のミッションをクリアした。スペースシャトルは「宇宙輸送システム（STS）」の一環として設計され、打ち上げには主に政府の予算が使われた。ミッションの中には、国際宇宙ステーション（ISS）の建設や科学実験、人工衛星の打ち上げなどが含まれる。その活動は、様々な政治的背景や事故を受けながらも、進化・変化していった。

スペースシャトルは、軌道船（オービタ）・外部燃料タンク・固体燃料補助ロケットという三つの部分から構成されている。燃料タンクと補助ロケットは上昇中に切り離され、最終的には軌道船のみが地球を周回する。発射時には通常のロケットと同様に垂直に発進し、その後は水平に滑空して帰還する独自のシステムを採用していた。この特徴は、再利用性を高めるために機体の形状と設計に大きく寄与した。特に、固体燃料補助ロケットは発射後に回収され、再利用される仕組みだ。

シャトルの構造と運用方法

シャトルの運用においては、通常5名から7名の宇宙飛行士が搭乗することができ、発射台からは垂直に打ち上げられる。主な構成は以下の通りである：

• - 外部燃料タンク（ET）：軌道船の推進に必要な燃料を供給する大きなタンク。ただし毎回使用後は投棄される。
• - 固体燃料補助ロケット（SRB）：発射に必要な初期の推力を提供する2基から構成され、それぞれの役目を終えると大気圏内に降下し、海に着水して回収される。
• - 軌道船（OV）：宇宙飛行士や貨物を搭載する部分で、最も頻繁に再使用される。

打ち上げ後、SRBとETはそれぞれの役目を果たした後に切り離され、オービタはその後も軌道上で様々な任務を遂行する。例えば、ハッブル宇宙望遠鏡のような大型物体を打ち上げたり、宇宙探査機を回収して地球に持ち帰ることが可能だった。

運用のコストと安全性の課題

スペースシャトル計画は、運用開始当初はコスト効率がよくなると見込まれていたが、実際には事故や安全対策のコストが膨らむこととなり、当初の計画よりも高額な運用費がかかる結果となった。特に、チャレンジャー号やコロンビア号の事故は、シャトルにおける安全の確保が十分ではなかったことを示しており、その結果、NASAの運用体制や予算に対する再考が促された。

退役と未来への展望

2011年に最後のミッションを終えたスペースシャトルは、宇宙開発の新たなフェーズに道を開く役割を果たした。退役後は、商業企業による宇宙輸送サービスが注目を集め、次世代の有人宇宙船開発へとつながっている。スペースシャトルの経験は、宇宙開発の今後の方向性に大きな影響を与え続けている。

スペースシャトルの功績はその操作性や技術面において画期的であり、その運用を通じて得た知見は、新たな宇宙船や探査機に踏襲されることとなり、今後の宇宙開発における重要な基盤となっている。

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