スポーツ・ミュージアム山田コレクション

スポーツ・ミュージアム山田コレクション（スポーツミュージアムやまだコレクション）は、かつて福井県福井市勝見に存在した、個人運営によるユニークな博物館です。福井県で事業を営む実業家、山田勝三氏が自身の邸宅を改築し、「スポーツ・カフェ山田コレクション」として2007年 4月25日に開館しました。

施設概要

このミュージアムは、山田氏の個人的なコレクションを公開する場として設けられました。入館料は大人1名あたり1,000円でしたが、特定の割引制度が存在しました。例えば、施設のウェブサイトで提供されていた割引券を印刷して持参するか、入口で支払い時にセブン-イレブンのキャッチコピーを口にすることで、入館料が半額の500円となりました。このようなユニークな割引方法は、施設の個性を示す一端と言えるでしょう。

収集品の特徴

展示されていたコレクションは、館長である山田氏が熱狂的なファンであった長嶋茂雄氏に関する品々が中心でした。現役時代の愛用品や記念品に加え、特に2004年に長嶋氏が脳梗塞で療養された際に、ご家族から放出されたという同氏ゆかりの品々も含まれており、その希少性が注目されました。

しかし、コレクションは長嶋氏関連に留まらず、野球をはじめとする様々なスポーツ界のスーパースターたちが実際に使用した貴重なアイテムなども数多く展示されていました。福井市にゆかりのある小林繁氏や、山田氏と個人的な交流があった金本知憲氏に関する収集品も豊富で、開館当時には施設の正面入口に「ミスター&アニキ金本の聖地」と記された大きな看板が設置されており、その特徴的な存在感を放っていました。

また、阪神タイガースで活躍した掛布雅之氏の愛車であったジャガーXJR-Sや、阪神甲子園球場で使用された同氏のネームボード、グラブ、さらには山田氏自身の新聞記事スクラップ台帳までが展示品に含まれていました。

さらに、このミュージアムのコレクションを際立たせていたのは、スポーツ関連品に限定されないその多様性です。三重交通のバス停、過去のドラマで使用された台本、古い時代の家電製品やテレビ、セブン-イレブンが販促用に提供していた景品、そして店頭に置かれていた不二家のペコちゃん人形（転売目的ではないことを示す誓約書付き）など、一見スポーツとは無関係に思えるような、ありとあらゆる種類の品々が展示・公開されていました。このジャンルを問わないユニークな収集姿勢が、施設の大きな魅力となっていました。

閉館までの経緯

2013年初頭、施設の看板が撤去され、門が閉ざされている様子が報じられ、同年4月には閉館が伝えられました。その後、同年8月に館長である山田氏が逝去されたため、施設が再開されることなく閉館が確定しました。

閉館後

ミュージアム閉館後、収蔵されていた山田コレクションのアイテムの一部は、特設サイト「Yokocho Premium Auction -山田コレクション-」を通じて一般に公開され、オークション形式で販売されることとなりました。このオークションは2014年10月1日から2015年8月31日までの期間に実施され、プロ野球選手のサイングッズを中心に、野球（MLB含む）、サッカー、ゴルフ、F1、プロレス、音楽関連、さらには昭和レトロな品々、玩具、フィギュアなど、実に10,000点を超えるアイテムが出品されました。これらの収蔵品は新たな所有者の手に渡っていきました。

一方、山田コレクションとして使用されていた建物自体は改装工事が行われました。その後、2016年4月からは建物の向かいにある医療法人が運営する高齢者福祉施設「いちごの森」として活用されています。こうして、個性的な博物館としての歴史を終えた建物は、新たな役割を担うこととなりました。

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