スポーツ中国

スポーツ中国の歴史と背景

スポーツ新聞「スポーツ中国」は、1964年から1965年にかけて中国新聞社によって発行されました。この新聞は、特に広島カープなど、中国地方のスポーツニュースを主な内容としていました。1963年に中国新聞社の山本正房社長がスポーツ紙の発行を決定したことが、創刊のきっかけとなりましたが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。

創刊の経緯

山本社長は、1964年に開催される東京オリンピックを見据え、地域のスポーツに関する情報を多くの人に届けるためにスポーツ新聞の必要性を訴えました。しかし、当初社内ではスポーツ紙に対する疑問や抵抗感が根強く、役員会での議論は難航しました。新たに設置されたスポーツ整理部では、平岡敬が部長として就任しましたが、彼は「なぜスポーツ紙を出す必要があるのか」と幾度となく山本社長に疑問を呈しました。最終的には平岡が方針に従い、1964年1月25日に「スポーツ中国」が創刊されることになりました。

発行の現状と課題

創刊当初の価格は一部5円で、地域のスポーツに焦点を当てた記事が掲載されました。しかし、発行を続ける中で、さまざまな課題が浮かび上がってきました。当時、共同通信社からの情報提供に優先順位が付けられており、中国新聞社と提携している友好新聞社からは記事がなかなか届かないという不安定な状況も影響しました。限られた人数による運営が求められ、スタッフは深夜まで紙面作りに追われる日々が続きました。

経済的困難と廃刊

1964年の冬のボーナス交渉では、スポーツ中国の赤字が2890万円に上るとの報告がありました。経費は17%増となり、労働組合からは経営陣に対する厳しい意見が寄せられました。そのため、中国新聞社内で今後の発行をどうするかという議論が繰り返されました。結局、1964年12月18日に「スポーツ中国」の廃刊が決定し、創刊からわずか1年後の1965年1月31日、370号をもって幕を閉じることになりました。

その後の展開

「スポーツ中国」の廃刊後、中国新聞社は自身のスポーツ面の拡充に専念しました。また、1967年には神戸新聞社の関連会社であるデイリースポーツ社と提携し、中四国向けの新聞を発行するための会社を設立しました。このようにして、中国新聞社は新聞発行の新たな方向性を見出し、地域のスポーツニュースを引き続き提供しています。さらに日刊スポーツの一部を受託したことで、中国地方向けの情報発信を強化しました。

まとめ

「スポーツ中国」は、その短い期間にもかかわらず地域におけるスポーツの情報発信に重要な役割を果たしました。創刊から廃刊までの過程は、スポーツ紙の設立が持つ難しさや、経営上の課題がいかに影響を与えるかを物語っています。現在、地域メディアは多様な形でスポーツ情報を提供し続けており、スポーツ中国の歴史はその礎とも言えるでしょう。

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