スマイル (ホフディランの曲)

「スマイル」という楽曲は、日本の音楽シーンにおいて、二つの異なる世代とアーティストによって、それぞれ重要な意味を持つ形で発表されています。オリジナルは、デュオバンド「ホフディラン」が、1996年7月3日に彼らの記念すべきメジャーデビューシングルとしてリリースしたものです。

ホフディラン版「スマイル」

ホフディランにとって最初のシングル作品であり、メジャーでの活動の幕開けを飾った楽曲「スマイル」は、その明るく親しみやすいメロディーと歌詞で、発表当時から様々な媒体で親しまれました。

特に広く知られるきっかけとなったのが、フジテレビ系で放映された人気アニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の初代エンディングテーマに採用されたことです。このタイアップにより、楽曲は多くのお茶の間に届けられました。また、CMソングとしても使用されており、具体的にはティースマイルのCMに起用されたことが記録されています。さらに、子供向け番組である『けんたろうとミクのワイワイキッズ』でも歌われたことがあり、幅広い層への浸透を示しています。

楽曲は、ホフディランのメンバーである渡辺慎によって作詞・作曲されました。シングルには、表題曲「スマイル」の他、カップリングとして「サガラミドリさん」と「こんな僕ですが」が収録されています。さらに、これらの楽曲それぞれについて、歌唱パートを除いたカラオケバージョンも収められ、全6トラック構成となっています。

発表から長い年月が経った2020年、この楽曲は再び大きな脚光を浴びることになります。大塚製薬の「オロナミンC」のCM「元気はつよいぞ。スピーチ」篇に採用され、CMに出演していた女優の森七菜によって歌唱されたバージョンが使用されました。

森七菜版「スマイル」

女優として活躍する森七菜は、2020年7月19日に「スマイル」を自身の名義で発表しました。これは彼女にとって初の配信限定シングルであり、歌手としてのデビュー作にあたります。特筆すべきは、この森七菜版「スマイル」のプロデュースを、オリジナル版のアーティストであるホフディラン自身が手掛けている点です。

楽曲はSony Musicから配信リリースされましたが、先に触れた大塚製薬『オロナミンC』のCMで使用された音源とは異なるバージョンとなっています。CMでの歌唱がきっかけとなり、改めて楽曲に注目が集まる中で、歌手・森七菜としての正式な音源が発表された形です。

この森七菜版「スマイル」は、その発表とともにミュージックビデオも公開されました。映画監督の奥山大史が手掛けたこのミュージックビデオは、公開後にYouTubeなどで大きな話題を呼び、再生回数は3000万回を超えるという記録を樹立しました。

さらに森七菜は、2021年1月20日にも「スマイル」に関連する楽曲を配信しています。「スマイル -WINTER MIX-」と題されたこの楽曲は、彼女にとって2作目の配信限定シングルであり、こちらも前作同様、ホフディランがプロデュースを担当しています。

このように「スマイル」という楽曲は、ホフディランのメジャーデビューを飾り、長年にわたり様々なメディアで親しまれたオリジナル版、そしてその約四半世紀後に、ホフディラン自身のプロデュースによって森七菜が歌い、若い世代を中心に再び大きな反響を呼んだカバー版（および別バージョン）という形で、時代を超えて多くの人々に届けられています。オリジナルの持つ普遍的な魅力が、新たな形でも受け入れられた好例と言えるでしょう。

もう一度検索