スミスとジョーンズ

スミスとジョーンズ：『ドクター・フー』第3シリーズの幕開け

2007年3月31日、イギリスの国民的SFドラマ『ドクター・フー』の第3シリーズが、衝撃的なエピソード「スミスとジョーンズ」で幕を開けました。このエピソードは、シリーズの新たなコンパニオンとなるマーサ・ジョーンズの華々しいデビューを飾るとともに、シリーズ全体を彩る重要な伏線をいくつも孕んだ、記憶に残る一作となりました。

ストーリー概要

ロンドン。突如として、宇宙警察ジュドゥーンが現代の病院を月へと転送するという、信じがたい出来事が発生します。病院には、プラズマ・ヴォアという吸血エイリアンが潜んでおり、ジュドゥーンはそれを抹殺するためにやってきました。 新コンパニオン、マーサ・ジョーンズは、この騒動に巻き込まれ、10代目ドクターと共にエイリアンとの戦いに身を投じることになります。 物語は、病院を舞台にスリリングな展開を見せ、同時にマーサの家族、彼女の温かさと複雑さを持ち合わせた家庭環境が丁寧に描かれています。 家族の絆、そして予想外のエイリアンとの遭遇。このエピソードは、新しいシリーズの幕開けにふさわしい、興奮と感動に満ちたドラマチックな展開を見せています。

制作秘話

「スミスとジョーンズ」は、2006年8月を中心に撮影されました。ロケーションには、グラモーガン大学やシングルトン病院などが使用され、それらは劇中では架空のロイヤル・ホープ病院として描かれています。予算の都合から、ジュドゥーンのヘルメットを外した姿は1体のみという制約がありましたが、それでもその異様な姿は視聴者の記憶に強く刻まれました。

撮影は病院だけでなく、マーサの家族が登場するシーンはポンティプリッドで行われ、劇中の病院の外観は聖トマス病院をモデルに調整されました。また、終盤のドクターがドアを閉めるシーンは、当初の予定とは異なる演出に変更されています。これは、ポストプロダクション段階でソニック・スクリュードライバーが破損していることに矛盾が発見されたため、急遽ドアロックを使うシーンが追加撮影されたというエピソードがあります。

音楽面では、マーサのテーマソングがメラニー・パッペンヘイムによって歌われ、エピソードに独特の雰囲気を醸し出しています。

キャストと過去のシリーズとの繋がり

このエピソードには、フリーマ・アジェマン演じるマーサ・ジョーンズをはじめ、数々のベテラン俳優が出演しています。中でも、フリーマ・アジェマンは、以前のエピソード「嵐の到来」で従妹役を演じており、視聴者にとって既知の顔として親しみやすさを感じさせています。また、他の俳優たちも、過去の『ドクター・フー』シリーズや関連作品への出演経験があり、長年のファンにとっては嬉しいサプライズとなりました。

さらに、「スミスとジョーンズ」は、過去のエピソードへの言及が随所に散りばめられています。マーサが過去の出来事について語るシーンや、ドクターのセリフの中に、過去のシリーズを想起させる要素が含まれており、シリーズ全体の繋がりを感じさせる工夫が凝らされています。これらの繋がりは、単なるファンサービスではなく、物語の奥行きと深みを与える重要な要素となっています。 特に、後々のシリーズで重要な役割を果たす「サクソン」という人物への言及は、第3シリーズ全体の大きなテーマに関わっています。

放送と評価

「スミスとジョーンズ」は、当初予定されていた放送日時から変更を経て、2007年3月31日にBBC Oneで放送されました。放送直前には、特別に制作された予告編が放送され、大きな話題を集めました。

放送後、このエピソードは高い評価を得ました。マーサ・ジョーンズのキャラクターやジュドゥーンといった個性的な宇宙人の描写、そしてスリリングなストーリー展開は、多くの批評家から賞賛を受けました。一方、科学的な描写の甘さや、マーサの家族の描写については、批判的な意見もありました。しかし、全体としては、第3シリーズの幕開けにふさわしい、傑作エピソードとして高い評価を受けています。日本でも、LaLa TVやHuluで放送・配信され、多くの視聴者から支持されています。異なる邦題で配信されている点も興味深い事実です。

結論

「スミスとジョーンズ」は、新コンパニオンの登場、スリリングなストーリー、そして過去のシリーズとの繋がりなど、多くの要素が詰まった、見応えのあるエピソードです。シリーズ全体への伏線や、キャラクターたちの魅力的な描写は、視聴者を惹きつけ、次のエピソードへの期待を高めるに十分な出来栄えでした。このエピソードは、『ドクター・フー』シリーズの中でも、特に重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

もう一度検索