スミス・マゲニス症候群

スミス・マゲニス症候群（SMS）について

スミス・マゲニス症候群（Smith-Magenis syndrome, SMS）は、遺伝子の異常によって引き起こされる先天性の疾患で、いくつかの特徴的な兆候が見られます。主な特徴としては、年齢とともに変化する独特な顔貌、発達の遅れ、認知機能の障害、そして行動上の困難が挙げられます。

特徴と症状

この症候群を持つ方々に見られる症状は多岐にわたり、成長段階によって現れ方や重症度が変化することがあります。

乳幼児期
生後間もない時期には、ミルクを飲むのが難しかったり、体重が増えにくかったりといった摂食の問題が見られることがあります。また、身体の成長が遅れることや、筋肉の緊張が低く、全身的な動きが少ないといった特徴も認められます。長時間眠る傾向があり、食事の時間に起こしてあげる必要がある場合もあります。

乳幼児期以降と思春期・成人期
大多数のケースで、軽度から中等度の知的障害を伴います。特に生後18ヶ月を過ぎた頃から、より顕著な行動上の特性が現れてくることが多く、これらは成人期まで続く傾向があります。

睡眠障害: 昼夜逆転など、睡眠に関する深刻な問題を抱えることがよくあります。
行動特性: 多様な行動上の困難が見られます。これには、注意力の散漫さ、落ち着きのなさ（多動性）、感情の制御が難しく頻繁にかんしゃくを起こす、他者の注意を強く引こうとする行動（注意探求）、衝動的に行動してしまう、指示に従わない反抗的な態度、攻撃性、そしてトイレトレーニングの難しさなどが含まれます。
常同行動: 繰り返し行われる特定の行動パターンが見られます。特に、自分の上半身を締め付けるように抱え込む行動は、この症候群に特徴的なものとして知られています。
自傷行為: 自分自身を傷つけてしまう行動も頻繁に見られます。これには、頭を叩く、体を噛む、自分の皮膚をむしり取る、体の穴（鼻や耳など）に物を入れてしまう（polyembolokoilamania）、そして指や足の爪を剥がしてしまう（爪甲損傷癖、onychotillomania）などがあります。
* 感覚の問題: 音や光、触覚といった感覚情報に対する反応が過敏であったり鈍感であったりする感覚統合の問題もよく見られます。

スミス・マゲニス症候群に見られる行動上の困難は、知的な発達と感情的な発達のスピードに差があることなどが影響している可能性が指摘されています。これらの特性に対する理解と適切なサポートが、本人の日々の生活の質の向上につながります。

関連分野

本疾患は遺伝子の異常が原因であるため、遺伝医学の分野と深く関連しています。

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