スモレンスクの戦い (1812年)

スモレンスクの戦い

スモレンスクの戦いは、1812年のフランス帝国によるロシア侵攻の初期において重要な意味を持つ戦闘であり、8月16日から18日まで行われました。この戦いでは、約45,000人のフランス軍がナポレオン1世の指揮の下、ミハイル・バルクライ・ド・トーリ将軍率いる約30,000人のロシア軍と衝突しました。スモレンスクをめぐる激しい戦闘は、街の壊滅的な被害をもたらし、数多くの犠牲者を出しました。

背景

1812年7月26日、ナポレオンはロシア第1西部軍とヴィーツェプスクにて戦闘を開始しましたが、決着はつきませんでした。ロシア軍はこの戦闘から撤退し、戦力を温存する戦略を採用しましたが、フランス軍もまた兵力が減少し、185,000人にまで達しました。両軍ともに前線での補給問題や感染症から影響を受け、多くの兵士が戦場から離脱していました。

この時期、ロシア陸軍の指導部は命令と戦略に対して重要な分裂を抱えていました。バルクライの「外国人」派とバグラチオンの「ロシア人」派の間での意見の対立が目立ちましたが、結局彼らは8月6日に攻撃に合意し、フランス軍の動向に対抗する準備を整えました。

スモレンスクの戦闘

8月16日、スモレンスクは防衛の中心的役割を果たしていました。ナポレオンはフランス軍の三軍団を使い、ロシア軍を包囲する計画を立てました。フランス軍は攻撃開始直後から激しい砲撃を行い、スモレンスクの街は火の海となりました。市内の84%の建物が焼失し、15,000人の住民の中から約1,000人が街に取り残されました。

攻撃が進み、フランス軍は城壁を登る準備を整えましたが、ロシア軍からの厳しい反撃にあい、さらなる圧力をかけられました。8月17日には、スモレンスクの守備隊がさらに多くのロシア軍によって強化され、最終的にフランスの攻撃を退けることに成功しました。ナポレオンはこの状況に直面し、スモレンスクへの本格的な侵攻を試みますが、圧倒的な抵抗に会います。

その結果、フランス軍は大規模な損失を出しながらも、市街地に侵入することができませんでした。これにより、ロシア軍は8月18日までスモレンスクを保持し続けることができました。

戦後の影響

この戦いの後、ロシア軍は新たにクトゥーゾフを指揮官として任命し、さらなる抵抗の準備を整えました。スモレンスクの戦いは、ロシア軍に対する精神的な影響を与え、彼らは戦略的撤退を強いられました。ナポレオンにとっては、この戦闘が後のボロジノの戦いへとつながる大きな転機となりました。

死傷者

スモレンスクの戦いでは、ロシア軍側での死傷者は約6,000人に上り、フランス軍も同様に大きな損害を抱えました。ナポレオンは700人の死者と3,100人の負傷者を発表しましたが、一部の記録によると、フランス軍の損失はさらに大きく、10,000人に達したという声も存在します。この戦いは、ナポレオンのロシア遠征の開始を告げる重要な日となり、その後の戦局に多大な影響を与えました。

スモレンスクの戦いは、各国における戦争の記憶として今なお語り継がれています。この戦闘の結果、両軍にとって多大な教訓が得られたことは疑いありません。

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