スモレンスク県 (ロシア帝国)

スモレンスク県は、帝政ロシア時代に存在した県の一つで、その行政中心地はスモレンスク市でした。1708年にピョートル1世によって設置された最初の8県の一つとして誕生し、1929年までその歴史を刻みました。

帝政ロシア期

スモレンスク県は、当初17の都市と8つの郡を擁していました。その中には、スモレンスク、ロスラヴリ、ドロゴブージ、ヴャジマ、ベルィーなどの重要な都市が含まれていました。1726年には、行政区画が整理され、スモレンスク郡、ロスラヴリ郡、ドロゴブージ郡、ヴャジマ郡、ベルィー郡の5郡に集約されました。

1775年には、ナメストニチェストヴォ制の導入に伴い、スモレンスク・ナメストニチェストヴォへと移行しました。この際、グジャトスク郡、エリニャ郡、カスプリャ郡（後のドゥホフシチナ郡）、クラスヌィー郡、ポレチエ郡、ルポソヴォ郡（後のユフノフ郡）、スィチョフカ郡の7郡が新たに設置されました。その後、1796年に再び県として再編されました。郡の統廃合を繰り返しながらも、1802年以降は12郡体制が維持され、帝政ロシア末期までその体制が続きました。

特筆すべきは、1812年の祖国戦争（ナポレオン戦争）です。この戦争により、スモレンスク県は甚大な被害を受けました。県内は戦火に見舞われ、その復興には多くの時間を要しました。

ソビエト連邦期

帝政ロシアが倒れ、ソビエト連邦が成立すると、スモレンスク県にも変革の波が押し寄せました。1918年には、ポレチエ郡がデミドフ郡へと改称されました。これは、行政中心都市のポレチエがデミドフに改称されたことに伴うものでした。

1919年には、モギリョフ県が廃止され、ムスチスラヴリ郡がスモレンスク県に編入されました。さらに1922年には、クラスヌィー郡が廃止され、ゴメリ県からゴルキ郡が編入されるなど、行政区画の再編が続けられました。また、この年にユフノフ郡がカルーガ県へと移管されました。

1924年には、ムスチスラヴリ郡とゴルキ郡が白ロシア・ソビエト社会主義共和国の管轄となり、ドゥホフシチナ郡はヤルツェヴォ郡へと改称されました。これは、行政中心地がヤルツェヴォに移ったことによるものです。

1927年にはデミドフ郡とドロゴブージ郡が、1928年にはグジャトスク郡、エリニャ郡、スィチョフカ郡が廃止されました。これらの郡の廃止は、行政効率化の一環として行われたと考えられます。

最終的に、1929年に県制が廃止され、スモレンスク県はブリャンスク県やカルーガ県などと共に、ザーパト州（西州）へと統合されました。この州の行政中心地はスモレンスクに置かれ、スモレンスクの歴史は新たな段階へと進むこととなりました。

スモレンスク県は、帝政ロシア時代からソビエト連邦初期にかけて、激動の歴史を経験しました。その変遷は、ロシアの歴史における重要な一部分を形成しており、現在の行政区画にも影響を与えています。

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