スモールキャピタル

スモールキャピタル（スモルキャプス）とは

スモールキャピタル（small capital、またはスモールキャップス small caps）とは、欧文のタイポグラフィにおいて、小文字とほぼ同じ高さでデザインされた大文字のことです。主に、すべて大文字で記述すると冗長になりがちな単語や文章に使用され、体裁を整える効果があります。また、イタリック体と組み合わせて、またはイタリック体の代わりに、強調表現として用いられることもあります。

特徴

優れたスモールキャピタルは、単に大文字を縮小したものではありません。小文字とのバランスを考慮し、文字の太さを揃え、横幅もわずかに広めに設計されています。これにより、スモールキャピタルで組まれた単語や文章は、小文字のような窮屈さがなく、大文字らしいゆったりとした印象を与えます。伝統的には、小文字の高さ（エックスハイト）よりも少しだけ高く設計されることが多いですが、現代のフォントでもこの慣習に倣ったものが多く見られます。

使用例

スモールキャピタルは、イタリック体ほど厳密な使用法は定められていませんが、以下のような例がよく見られます。

段落の最初の単語や数語、または最初の1行
BCやADなどの略語
4文字以上のイニシャル（例：NATOをNatoと表記）
同綴りの略語との区別（例：who）
欄外タイトル、記事への署名、相互参照、索引、戯曲の役名、参考文献の著者名
人名の苗字を先に出す場合（特にイギリスやフランスの書籍、アジア系人名）(例：Potter, Harry)
聖書でヤハウェを意味するLordの表記
数学における定義、定理、命題などの見出し
* 化学におけるDL表記

CSSでの表現

CSSでは、`font-variant: small-caps`という記述でスモールキャピタルを指定できます。

html

Jane Doe - Jane Doe.

上記HTMLは、以下のように表示されます。

Jane Doe - Jane Doe.

この場合、大文字はそのまま大文字で、小文字はスモールキャピタルで表示されます。

Unicodeでの表現

スモールキャピタルは、Unicodeに独立した文字として割り当てられているわけではありません。一部の文字（A, B, G, H, I, L, N, R, Y, F, S, Q）が、発音記号拡張やラテン文字拡張として収録されています。

派生

UNIXというコンピュータOSの名前は、初期の頃には専門書などでスモールキャピタルで「Unix」と表記されていました。

スモールキャピタルは、欧文タイポグラフィにおいて、文章の表現力を高めるための重要な要素の一つです。適切に使用することで、文章の可読性や美しさを向上させることができます。

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