スライド法

スライド法とは

スライド法は、不動産の賃料評価において利用される手法の一つです。この方法は、現行の賃料を継続的に求める際に特に役立ちます。一般に、不動産鑑定評価基準に基づいて実施されます。スライド法では、賃料の算出において以下のような手順が踏まれます。具体的には、現行賃料が定められた時点の純賃料に、経済変動を反映する変動率を乗じ、その結果に必要な経費を加算して最終的な賃料を求めます。

現行賃料が定まった時点における実際の賃料（支払賃料や実質賃料）を基に、適切な変動率を求めることも重要です。この場合には、その変動率を用いて直接賃料を求めることが許可されます。

この手法の利点は、シンプルでありながらも客観的な指標を使用することで、貸主と借主の双方に対して納得感を与えやすい点です。ただし、スライド法は継続賃料市場や、特定の不動産・賃貸契約の個に応じた特性を完全には反映できないという欠点も指摘されています。スライド法は1990年に不動産鑑定評価基準において正式に採用された名称です。

変動率の意義

スライド法における変動率は、賃料を算出する際の基礎となります。この変動率は、現行賃料が定められた後、価格の基準時点までに生じた経済情勢などの変化を反映するものであり、マクロ経済的視点から捉えるか、ミクロ経済的視点から捉えるかは議論の余地があります。

変動率を求める際には、使用する指標が結果に影響を与えるため、地代と家賃の違いに注意しながら、対象不動産の特性と各種指標の性質を総合的に考慮する必要があります。たとえば、地代や家賃に共通する指標には消費者物価指数や物価指数、国内総生産などがあり、地代の変動を捉えるための指標としては地価の変動指数、家賃の場合には建築費指数や賃料動向調査などがあります。

必要経費

スライド法を用いて賃料を算出する際には、賃料そのものだけではなく、必要な経費も考慮する必要があります。必要諸経費には、維持管理費や税金、保険料など、賃料に対して依存するさまざまな費用が含まれます。これにより、より現実的な賃料の評価が可能となります。

参考文献

• - 日本不動産鑑定協会 編著, 調査研究委員会鑑定評価理論研究会『新・要説不動産鑑定評価基準』, 住宅新報社, 2010年.
• - 新藤延昭『不動産鑑定評価の知識』, 住宅新報社, 2007年.
• - 賃料評価実務研究会 編『賃料評価の理論と実務』, 住宅新報社, 2006年.

関連項目

• - 新規賃料を求める手法
• - 積算法
• - 賃貸事例比較法
• - 収益分析法
• - 差額配分法
• - 利回り法

以上のように、スライド法は不動産賃料の評価において重要な役割を果たしており、経済変動に基づく賃料算出の手段として広く認識されています。

もう一度検索