スラップ・ショット

映画『スラップ・ショット』の概要

『スラップ・ショット』（Slap Shot）は、1977年に公開されたアメリカのスポーツコメディ映画で、アイスホッケーを題材にしています。本作は、経済情勢が厳しい架空の町チャールズタウンを舞台に、絶不調のアイスホッケーチーム、チャールズタウン・チーフスが直面する危機とその奮闘を描いています。

あらすじの紹介

物語の背景には、地元の製鉄所が閉鎖され、1万人の労働者が解雇されるという深刻な経済問題が存在します。この影響で、チーフスは順位も最下位に沈み、ファンも徐々に離れていっています。チームは存続の危機にあり、選手たちの士気も低下している中、選手兼コーチのレジー・ダンロップは一計を案じます。彼は、フロリダの団体に売却する可能性を嘘の情報として流し、チームに対する人気を高めようとします。この策略により、何とかチームを盛り上げようと奮闘する姿が描かれます。

チーフスの監督であるジョー・マグラスは、経費削減のためにホッケー用具を売却しつつ、暴力的なプレースタイルを持つハンソン3兄弟をチームに加えます。この兄弟たちは観客を楽しませるために乱闘を持ち込むことになりますが、初めはその知能の低さを露呈します。しかし、彼らの思わぬ活躍はファンを魅了し、観客動員数の増加につながります。

一方で、チームの得点王であるネッド・ブレーデンは乱闘に参加しないことを決意し、ダンロップは彼の心理的プレッシャーをかけることになります。試合は次第に暴力が支配するものとなり、観客はその様子を楽しみに集まりますが、ブレーデンは次第にこの状況に疑問を感じるようになります。

クライマックスと結末

チーフスのシーズンは、チームの暴力的なプレースタイルによって優勝を目指すことになりますが、ダンロップはその後の試合が自分にとって最後になることを理解し、暴力から脱却しようと決意します。しかし、対戦相手のシラキュースは狂暴な選手たちで固められており、試合は再び乱闘へと向かうことになります。最終的に、ブレーデンは自らのスタイルを崩し、リンク上で生ストリップショーを行い、試合は彼の意表を突く演出によって大きな盛り上がりを見せます。

フィナーレには、シラキュースのキャプテンがブレーデンのショーに抗議し、チーフスが優勝するという奇妙な結末を迎えます。優勝を果たしたものの、チームはこのままでは成り立たず、ダンロップは新しいチームへと移籍する決意を固めます。

文化的な影響と背景

本作は、単なるスポーツ映画にとどまらず、経済危機や男社会への批判、さらにはフェミニズム的な視点をも反映しています。脚本には女性であるナンシー・ダウドが携わっており、反戦や社会問題をテーマにした作品と共通するメッセージを持っています。『スラップ・ショット』は、後の多くの映画に影響を与えたと考えられ、男のストリップやチームオーナーへの批判的な描写が、他の作品にも見られることがその証拠です。

この映画はそのユーモアと深いテーマ性により、今なお多くの人々に親しまれています。

もう一度検索