スリーズ (人工衛星)

スリーズ（Cerise）は、フランスが運用していた軍事偵察衛星です。特筆すべき点として、スリーズは宇宙空間に存在するスペースデブリとの衝突が確認された初の人工衛星として記録されています。

概要

スリーズの主要な目的は、フランスの情報機関が利用するHF電波信号の傍受でした。衛星の重量は約50kgと比較的軽量です。

1995年7月7日、スリーズはフランス領ギアナのクールー宇宙センターからアリアン4ロケットによって打ち上げられました。初期軌道は近地点675km、遠地点666km、公転周期98.1分、軌道傾斜角98.0度でした。

スペースデブリとの衝突

運用開始から約1年後のことでした。スリーズの姿勢に急激な変化が生じ、高度約700kmの極軌道上で回転しているのが確認されました。初期調査の結果、スペースデブリとの衝突が原因であるという結論に至りました。

その後、イギリスの宇宙追跡ネットワークやNASAによる観測・解析によって、1996年7月24日にスリーズがデブリと衝突したことが確認されました。衝突したデブリは、スリーズが展開していた全長6mの重力傾斜安定ブームに、秒速14kmを超える速度で衝突したと推定されています。この事例は、ランデブーの失敗などを除けば、宇宙空間における人工物同士の衝突が確認された初のケースとなりました。

衝突したデブリは、元々アリアンロケットの部品であり、カタログに登録されていました。

衝突後の運用

デブリとの衝突というアクシデントに見舞われたにもかかわらず、スリーズ本体および搭載されていたペイロードは、地上からの制御によって正常に稼働を続けました。ミッション・コントロール・エンジニアは、地上からの制御に頼らずに衛星の姿勢を制御する新しいソフトウェアを開発し、衛星のオンボードコンピュータプログラムを書き換えることで、スリーズのミッションを継続させることに成功しました。

参考文献

• - National geographic image of the collision

関連項目

• - クレマンティン (人工衛星): スリーズの後継機
• - 2009年人工衛星衝突事故

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