スロットアンテナ

スロットアンテナについて

スロットアンテナは、無線通信に特化した特殊なアンテナであり、主に超短波以上の高い周波数帯域で使用されます。このアンテナの構造には、導波管と金属板を用いた二つの主要なタイプがあります。それぞれの構造は異なりますが、共通して高い指向性を持つという特性を備えています。

導波管スロットアンテナ

導波管スロットアンテナは、方形断面の導波管をベースに設計されています。この導波管の側面には、1/2波長の間隔でスロットが設けられています。スロットはわずかに傾斜がつけられ、隣接するスロットの傾斜は互いに逆向きに配置されています。このように設計されたスロットは、導波管内を流れる電流が止まるポイントを生成し、その結果として電界が形成されます。

スロットにおける傾斜の効果は、隣り合うスロット同士で電界の垂直成分が打ち消し合うことにあります。これにより、アンテナ全体で水平成分のみが強調され、導波管に対して鋭い指向性が実現されます。また、給電は導波管の中央部または一端から行うことができ、柔軟な設計が可能です。

金属板によるスロットアンテナ

もう一つのスロットアンテナのタイプは、金属板を利用したもので、こちらでは高さ1/2波長、幅3/4波長の金属板が垂直に設置されており、その中央部にスロットが設けられています。このスロットは幅1/2波長、高さ約0.01波長であり、給電はスロットの長辺の中心点またはその少しずれた位置から行われます。このタイプのアンテナのインピーダンスは約530Ωとされており、非常に効率的に信号を伝達することが可能です。

金属板によるスロットアンテナの利得は、3エレメントの八木・宇田アンテナに相当し、パフォーマンスは非常に高いです。加えて、この金属板をシリンダー状に丸めた「シリンドリカル・スロットアンテナ」も存在します。この形状では、多数のループアンテナを積み上げたときと同じ構造になり、さらなる利得を実現しています。

意図しないスロットアンテナ的作用

時には、意図せずして周囲の機械装置の金属箱や金属板の隙間がスロットアンテナとして機能してしまうことがあります。これにより、特定の周波数帯域においては電磁ノイズを強く放射したり逆に受信しやすくなることがあります。このような状況では、金属の隙間を電気的に閉じることによって問題を解決できます。

まとめ

スロットアンテナはそのデザインにより、特に高い周波数帯域での通信において優れた性能を発揮します。導波管スロットアンテナと金属板スロットアンテナの二つの構造には、それぞれ特有の利点があり、無線通信の分野では欠かせない存在となっています。利用する際には、その特性を十分に理解し、設計に応用することが求められます。

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