スーパードライホール

スーパードライホールは、東京都墨田区吾妻橋に位置する、アサヒビール吾妻橋本部ビル（通称アサヒビールタワー）に隣接する多目的ホールです。アサヒビールの創業100周年を記念し、1989年にアサヒビールタワーと共に竣工しました。この建物は、隅田川の畔にあった同社の旧吾妻橋工場跡地の再開発プロジェクトの一環として建設されました。

建物の設計は、フランスの著名なデザイナー、フィリップ・スタルクが担当しました。1階から3階はレストランとして利用されており、4階にはかつて「アサヒ・アートスクエア」というイベントホールがありました。しかし、「アサヒ・アートスクエア」は2016年3月末をもって閉館し、現在はスーパードライホールのみが存続しています。

象徴的なオブジェ「フラムドール」

スーパードライホールの屋上には、非常に特徴的な巨大モニュメントが設置されています。これは「フラムドール」（フランス語で「金の炎」を意味する）と呼ばれ、燃え盛る炎を形象したものです。アサヒビールの情熱的な企業姿勢を象徴するとされ、その形状は見る人に強い印象を与えます。このオブジェは、長さ約44メートル、360トンもの鋼材を使用して作られています。

興味深いことに、このオブジェの形状については様々な解釈がなされています。当初、赤いオブジェという噂がSNSで流布されましたが、アサヒビールの広報担当はこの情報を否定しています。また、建設当時アサヒビール社長であった樋口広太郎氏によると、当初は炎がビルを貫くようなデザインを考えていたものの、構造上の問題から断念したとのことです。フィリップ・スタルクにデザインを任せたところ、現在の横たわった形状になったというエピソードが語られています。しかし、アサヒビール広報部は、スタルクの提案は最初から横向きのデザインだったと述べています。

その独特な形状から、このオブジェは「うんこビル」「うんちビル」という愛称で親しまれることもあります。他にも、「オタマジャクシ」、「練り辛子」、「クジラ」、「オバケ」、「筋斗雲」、「黄金の精子」など、さまざまなユニークな解釈がされています。また、隣接するビールジョッキ型のビルに合わせて、ビールの泡が横に吹き出した様子を表現しているという説もあります。

メンテナンスと変遷

完成当初は、ロッククライマーによる定期的な清掃作業が行われていましたが、2005年の塗り替え工事でセルフクリーニング機能を持つ塗料が使用されたため、その後は清掃作業は行われなくなりました。2017年には、2度目の塗り替え工事が行われ、工事期間中はオブジェが足場に覆われて見えない状態となっていました。

スーパードライホールは、そのユニークな外観と歴史から、東京のランドマークとして広く認識されています。多くの人々に愛されるこの建物は、アサヒビールの企業文化と革新性を象徴する存在と言えるでしょう。

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