スーフェイ・ヤン

スーフェイ・ヤン：中国が生んだ世界的なクラシックギタリスト

スーフェイ・ヤン（楊雪霏、Xuefei Yang）は、1977年北京生まれの中国を代表するクラシックギタリストです。7歳でギターを始めると、すぐに類まれな才能を開花させました。幼少期から中国におけるギターブームの最中にあり、名教師チェン・ジーに師事したことが彼女の才能を大きく伸ばしたと言えるでしょう。

1987年には、わずか10歳で第1回中国国際ギター・フェスティバルに出演し、高い評価を受けました。その後も数々のコンクールで受賞を重ね、1989年には東京国際ギターコンクールで特別賞を受賞。この受賞をきっかけに、日本の著名な楽器製作者からコンサートギターを贈られるなど、国際的な舞台での活躍の足掛かりを築きました。

1990年には、将来有望なギタリストとして北京市長から表彰を受け、北京中央音楽学院附属中学に入学。翌年にはマカオでソロリサイタルを行い、さらにマドリッドでのデビューコンサートでは、ホアキン・ロドリーゴを聴衆に迎え入れました。このように、若くして世界的な舞台で活躍する彼女の才能は、中国のみならず、世界中から注目を集めるようになりました。

1999年に中央音楽学院を卒業した後、2000年には中国人初の奨学生としてイギリス王立音楽アカデミー大学院へ留学。著名なギタリストであるマイケル・ルーインやティモシー・ウォーカーらに師事し、研鑽を積みました。2002年には同大学院を首席で卒業、高い評価を獲得しています。在学中は、中国、香港、マカオを始め、スペイン、オーストラリア、台湾、日本、ポルトガルなど、世界中でコンサートツアーを行い、米国、イギリス、ドイツ、フランスなどでもギターフェスティバルに出演。王立音楽アカデミーオーケストラやBBCコンサートオーケストラと共演するなど、幅広い活動を行いました。

2003年から2004年にかけては、ヨーロッパ各地を巡るナイト・オブ・プロムスツアーで全54公演を行い、その高い演奏技術と表現力を世界中に示しました。彼女の演奏はYouTubeなどでも視聴でき、世界中のギター愛好家から高い評価を得ています。

スーフェイ・ヤンの活動は演奏活動だけにとどまりません。彼女は数々のアルバムをリリースしており、それらは中国の伝統音楽と西洋音楽を融合させた、彼女独自のスタイルを確立した作品となっています。例えば、『四季』では、中国人の作曲家賀緑汀の作品や、日本の作曲家の作品を取り上げ、彼女の幅広い音楽性を示しました。また、『愛のロマンス』では、世界的に有名なギター曲を、中国人や日本人のアレンジを加えることで、東洋的な雰囲気を醸し出した、独創的なアルバムを制作しています。

このように、スーフェイ・ヤンは、類まれな才能とたゆまぬ努力によって、中国を代表する、いや世界的なクラシックギタリストとしての地位を確立しました。彼女の影響は、後進の中国の若い女性ギタリストたちにも広がっており、中国におけるクラシックギター界の発展に大きな貢献を果たしています。彼女の今後の活躍にも大いに期待したいところです。

受賞歴

ストッツェンベルグ国際クラシック・ギター・コンクール
サンフランシスコ国際ギター・コンクール
ダーウィン国際コンクール（第2位）
アイヴァー・マイランツ・アワード（第1位）

ディスコグラフィ

Classical Guitar by Yang Xuefei（邦題「スーフェイ・ヤンによるクラシックギター」）
Si Ji（邦題「四季」）
Romance de Amor（邦題「愛のロマンス」）
40 Degrees North（邦題「北緯40度〜スペインと中国のギター作品集」）

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