セイバル

セイバル遺跡の概要

セイバル（Seibal）は、グアテマラのペテン県に存在する歴史的なマヤ遺跡で、パシオン川の西岸に位置します。この遺跡は、先古典期中期初頭から古典期終末までの数世代にわたって、繁栄と衰退を繰り返してきました。セイバルの名前は、「セイバの木のある場所」という意味で、現地の言語に由来していますが、英語圏では「Seibal」と記述されることが一般的です。

この場所では、少なくとも55基の石製記念碑が発見されており、その中でも特に状態の良い21基が注目されています。セイバルの中心地はおおよそ1平方キロメートルの範囲に広がり、主に西側からグループA、C、Dの3つの主要部分に分かれています。特に、古典期終末（バヤル相）の時期には、推定人口が1万人に達していたとされています。

遺跡の構造と建造物

セイバルの遺跡は、急峻な丘陵地に築かれており、パシオン川から50メートルほど上がった位置に広がる形状をしています。主にグループDの建物群が、自然の要害と致命的な谷によって守られています。これらの建造物は、主に「堤道」と呼ばれる通路によって結ばれています。グループDからグループAに向かう堤道Iでは、比較的小さな谷を越え、次にグループCへと進む形になっています。

グループAは主に3つのプラザを有しており、そこには重要な構築物も存在しています。「中央プラザ」は、その中でも特に広大で、北側には大きなピラミッドA-18がそびえています。この地域の遺構は、特に古典期終末に重要な役割を果たしていたと考えられています。

研究と発見の歴史

セイバルの発見は1892年にさかのぼります。当時、グアテマラ政府の委託を受けたフェデリコ・アルテスが、シカゴ万博向けにマヤの石碑の型どりを行うために現地調査を実施しました。その後、ハーバード大学をはじめとする多くの研究機関によって、詳細な調査が行われました。

最初にこの遺跡を訪れたのはアルテスで、その後テオベルト・マーラーやハーバード・スピンデンなどの研究者たちが引き続き調査を行い、数々の貴重な情報を発見しました。特に、マーラーの調査は、セイバルの地図を作成し、建物と石碑に関する詳細な記録を残しました。

1948年にバーナム・ブラウンが発見した石碑や、1960年代のジョン・グラハムによる調査により、その後も多くの実りある調査が継続されています。特にハーバード大学の調査によって得られた知識は、今日のセイバルに関する理解を大いに深めています。

セイバルの文化と歴史的意義

セイバルは、その独特の建造物と数多くの石碑に見られる象形文字から、古典期のマヤ文化の重要な中心地であったことが明らかになっています。特に、その地で発見される土器や埋葬の様式からは、地域の人々の生活や祭祀活動についての深い理解を得ることができます。

近年の調査では、土器の編年や埋葬文化の分析が進められており、セイバルがどのように古代マヤ社会の変遷を映し出しているのかが探求されています。また、メキシコ中央高原との文化的交流や影響関係についても、研究者たちによる活発な議論が行われています。これにより、セイバルは古代マヤ文明における重要な研究対象としての地位を確立しているのです。

セイバルは、ただの遺跡に留まらず、古代マヤの多様な文化や歴史を探求するための貴重な舞台を提供しているのです。これからの調査と研究によって、さらなる発見が期待される場所でもあります。

もう一度検索