セイム・タイム、ネクスト・イヤー

作品概要

『セイム・タイム、ネクスト・イヤー』（原題：Same Time, Next Year）は、1978年にアメリカ合衆国で製作された映画作品です。本作は、劇作家バーナード・スレイドによる同名の戯曲『セイムタイム, ネクストイヤー - 来年の今日もまた』を原作としています。物語は基本的に二人の登場人物を中心に展開し、これは原作戯曲が二人芝居として構成されていることに由来します。

物語の展開

物語の主題は、偶然の出会いから始まった既婚者である男女、ジョージとドリスの25年間にわたる特別な関係性です。二人は年に一度だけ、同じ場所で会うという約束を交わし、その逢瀬を重ねていきます。映画は、1951年、1956年、1961年、1965年、1970年、そして1975年というように、5年ごとの再会シーンを断続的に描くことで、時間の経過とそれに伴う彼らの変化、そして関係性の変遷を映し出します。

それぞれの年に描かれる場面では、彼らが抱える家庭の問題、個人的な悩み、キャリアの状況、そして二人の関係そのものについて、率直な会話が繰り広げられます。当初は情事から始まった関係は、互いの人生における重要な出来事や感情を共有する中で、より深く複雑なものへと変化していきます。喜びや悲しみ、時には意見の衝突や喧嘩も経ながら、彼らは互いにとってかけがえのない存在となっていきます。時代の流れと共に変わるファッションや社会情勢も背景に映し出され、それが彼らの会話や置かれている状況に微妙な影響を与えている点も興味深い要素です。実質的に限られた登場人物による密度の高い会話劇が、物語の核を成しています。

日本での展開

本作は日本でも紹介されており、特に舞台版が注目されました。1985年には、加藤健一事務所によって舞台化され、加藤健一と高畑淳子が出演しています。また、映画版は1990年代に日本の衛星放送局であるWOWOW（当時のJSB・日本衛星放送）で放映されていました。

受賞歴

『セイム・タイム、ネクスト・イヤー』は、その演技や脚本、技術面が高く評価され、第51回アカデミー賞において複数の部門でノミネートされました。具体的には、主演女優賞（エレン・バースティン）、撮影賞、脚色賞、歌曲賞にノミネートされる実績を持っています。

キャスト

主要なキャストには、ドリス役を演じたエレン・バースティンと、ジョージ役を演じたアラン・アルダが名を連ねます。その他、アイヴァン・ボナーも出演しています。

この映画は、時間の経過が人間関係や個人の内面に与える影響を、二人の特別な関係を通して深く描いた作品と言えるでしょう。限られた空間と時間の中で紡がれる会話が中心でありながら、25年という長いスパンで描かれることで、人生の多様な側面や変化、そして不変の絆の存在を感じさせます。

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