セイヴ・ロックンロール

フォール・アウト・ボーイの5作目のスタジオアルバム『セイヴ・ロックンロール - FOBのロックンロール宣言!』(Save Rock And Roll)は、バンドの再始動を告げる重要な作品となりました。2009年の無期限活動休止後、彼らは新たなサウンドとビジョンを持って音楽シーンに帰ってきたのです。

このアルバムは、それまでの作品とは異なるアプローチが随所に見られます。まず、長年タッグを組んできたプロデューサー、ニール・アヴロンではなく、ブッチ・ウォーカーを起用。新鮮なサウンドプロダクションは、バンドの進化を象徴する出来事となりました。さらに、2チェインズ、フォクシーズ、ビッグ・ショーン、コートニー・ラヴといった豪華なゲストミュージシャンが参加し、楽曲に多様な魅力を与えています。中でも、エルトン・ジョンをフィーチャリングしたタイトル曲「セイヴ・ロックンロール」は、バンドの復活とロックへの強い意志を鮮やかに表現しています。

本作の最も革新的な試みは、全11曲分のミュージックビデオを制作し、それらを繋ぎ合わせて一つの壮大な物語を紡いだ点です。このアイデアは、ダフト・パンクと松本零士によるアニメーションオペラ『インターステラ5555』からインスピレーションを得たもので、各楽曲が物語の断片として機能しています。これらのミュージックビデオは後に、映画『The Young Blood Chronicles』（ザ・ヤング・ブラッド・クロニクルズ）としてまとめられ、より深く作品の世界観に触れることができるようになりました。この映画は、単なるミュージックビデオ集ではなく、フォール・アウト・ボーイの音楽とビジュアル表現が融合した、新たな芸術作品と言えるでしょう。

日本での発売は、一度延期されるというハプニングがありました。そして最終的に発売された日本盤は、ケースとブックレットの間に赤いシートが挿入され、本来のカバーアートが隠された、特殊仕様となっていました。この独特の仕様も、日本のファンの間で話題を呼びました。

アルバム収録曲は、それぞれが『The Young Blood Chronicles』という映画の構成要素として位置づけられています。例えば、1曲目の「The Phoenix（ザ・フェニックス）」は2ndシングルとしてリリースされ、映画のパート2を担っています。同様に、「My Songs Know What You Did In The Dark (Light Em Up)（僕の歌は知っている）」は1stシングルとしてリリースされ、パート1を担い、2チェインズのゲスト出演も話題を呼びました。他にも、「Alone Together（アローン・トゥギャザー）」、「Where Did The Party Go（ホエア・ディド・ザ・パーティー・ゴー）」、「Just One Yesterday feat. Foxes（ジャスト・ワン・イエスタデイ feat. フォクシーズ）」、「The Mighty Fall feat. Big Sean（ザ・マイティ・フォール feat. ビッグ・ショーン）」、「Miss Missing You（ミス・ミッシング・ユー）」、「Death Valley（デス・ヴァレー）」、「Young Volcanoes（ヤング・ヴォルケイノーズ）」、「Rat A Tat feat. Courtney Love（ラタタット feat. コートニー・ラヴ）」、そしてエルトン・ジョン参加のタイトル曲「Save Rock And Roll（セイヴ・ロックンロール）」と、各曲が映画の構成要素として機能している点が特徴的です。さらに、日本盤には「My Songs Know What You Did In The Dark (Light Em Up) - 2 Chainz Remix（僕の歌は知っている - 2チェインズ・リミックス）」というボーナス・トラックが追加収録されています。

『セイヴ・ロックンロール - FOBのロックンロール宣言!』は、単なるアルバムを超えた、音楽と映像の融合による壮大なエンターテイメント作品であり、フォール・アウト・ボーイの復活と進化を象徴する記念碑的な作品と言えるでしょう。

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